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 真剣にふざけているのか、ふざけて真剣になっているのか。動物をかたどった木彫作品の数々が抗しがたい不思議な魅力をたたえている。この人気彫刻家のエッセー付き作品集、見ていて飽きない。

 作品の多くは無表情で立つイヌ、サル、クマといった動物だが、うんちを出しかけて振り向くネコやカンフーをするネコのほか鬼やロボットもいる。形容すればユーモラス、かわいい、珍妙…。

 代表作は「ピエタシリーズ」だろうか。マリアがキリストの遺体を抱く「ピエタ」像よろしく、イカがぐったりしたパンダを抱えている。タコとダイコン、ナスとタコといったバリエーションもある。

 衝撃は「豆腐ちゃん」だ。微妙な起伏がある直方体に目鼻がチョンと付いているだけ。デッサンに難儀したという。すぐに描けてしまうから。同様の系列に砥石、食パン、海苔がある。

 冗談? いや、当人は仏師の流れを汲む家系に生まれた5代目彫刻家。写実性とエロティシズムに富む等身大の女性立像を見れば、尋常ならざる技術の持ち主であることが分かる。

 作品の制作工程を丁寧に解説し、自虐と脱力に満ちたエッセーからは芸術家の信念がのぞく。

「清廉になることで人様を感動させるわけにはいきません。そのまま狂気を継続させるのです。生真面目な人が生活を賭けて一生懸命やればやるほど、不幸にして作品はつまらなくなるものです」

 なるほど、一見癒し系の作品が持つ異様な存在感を「狂気」と見なせば、妙に納得がいく。

(河出書房新社 1900円+税)=片岡義博

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