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 この2人が時代劇映画を語り合うのだから面白くないわけがない。だが単なる通史ではない。WOWOWの番組対談などを基に2人が偏愛する作品を通した時代劇への熱い手引書だ。

 「七人の侍」に始まり「宮本武蔵」5部作、三隅研次監督「剣」3部作、「子連れ狼」シリーズ、原田芳雄主演「竜馬暗殺」「浪人街」、五社英雄監督「御用金」「人斬り」。他の名だたる監督の作品は登場しない。だがそのぶん中身は濃い。

 春日の強みは製作プロセスや現場のエピソードに関する膨大な知識に加え、撮影や照明など技術スタッフによる映像表現の違いを見分ける眼力だ。対する町山は作品が成立した時代背景や隠れたメッセージ、洋画との比較に冴えを見せる。

 例えば「七人の侍」の戦闘シーンのリアリティーは敗戦から9年後の公開という時代背景を抜きには考えられない。農民に竹槍を持たせて戦闘訓練する場面は戦国時代よりも太平洋戦争のイメージだと町山は指摘する。

 あるいは「宮本武蔵」5部作の構成。大敗を経て暴力の世界でのし上がろうとする男が最終的には何も得られないという結末は、その後の「仁義なき戦い」シリーズに重なる。両作の撮影・照明スタッフも同じ。「仁義なき戦い」のルーツには「宮本武蔵」があった、というのは春日の洞察。

 「この映画がそれでもすばらしいのは……」「石橋蓮司」「でしょ?」。対談は終始、息の合った即興演奏のように進む。本編に続き「戦争・パニック映画編」も刊行された。

(河出新書 880円+税)=片岡義博

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