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 本当だとしたら世界観がゴトンと90度くらい変わりそうだ。私たち人間が心を持ち、言葉を話し、文明を築いたのは遠い昔、犬に出会ったおかげ、というのだから。そんな最新の学説を軸に動物学者が人間と犬との運命的とも言える結びつきを縦横につづった。

 まず学術的な見地から、数千万年に及ぶ進化と地球規模の移動の果てに人間と犬が出会う壮大なドラマが描かれる。6万年前、アフリカから東進した人類とシベリアを南下した犬が東南アジアの川辺で遭遇する。サトウヤシやバナナ、サトイモといったデンプン質食物を消化する能力を犬が得ることで人間との共生、すなわち家畜化が始まった。他の家畜に5千年ほど先駆けた1万5千年前のことだ。

 人間にとって犬の優れた嗅覚や聴覚は外敵からの防衛や狩猟に大いに役立った。当時は地球の最寒冷期。人は生き残りをかけて絶えず犬に声をかける。それが人の心を豊かにし、この前後、洞窟絵画や縄文土器など人類の文化が華やかに開花する。

 やがて人間がヒツジやヤギを飼うようになると、犬との共同作業を効率的に行うため、人は「犬が理解できる音声言語」を操るようになる。論理で意味を伝える言葉の発生である。

 堅苦しい話だけではない。人を助け、救い、慰めてきた犬の美談や、伊勢参りをした江戸時代の犬、地下鉄で“通勤”するロシアの野良犬など愉快なエピソードが随所に差し挟まれる。すなわち全編、犬への愛に満ちている。犬好きにはたまらない。

(講談社 1750円+税)=片岡義博

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