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 武蔵野美術大学美術館「くらしの造形20 手のかたち・手のちから」(8月9日~9月21日)の展示場に入ると、手や足をかたどった木製の「手足形」がうず高く積まれ、その存在感に圧倒された。

 福井県の三方石観世音の御手足堂に病気平癒を祈願して奉納された手足形6万点余りについて、武蔵野美大の研究チームが8年がかりで調査した。本書はその成果を初披露した展覧会の図録である。調査報告とともに手足形の造形的魅力や霊力の由来を考察した論考が収録されている。

 手足に病やけがを持つ人々がお経を唱えながら、御手足堂から借りた手足形で患部をさすって回復を祈願する。ご利益があれば手足形を返し、「願晴し」として新しい手足形を納めてきた。

 同様の民間信仰は世界中にあるが、三方石観世音の奉納品はその数量が突出し、仏師の手になる精妙なものもある。色や形、手相、指の開き方が一つ一つ異なり、見ていて飽きない。患部を繰り返しさすって黒光りしたものもあれば、「イタイイタイ」「此処御助け下さい」と墨書されたものもあり、人々のすがるような思いが生々しく伝わってくる。

 図録の後半は同大教授だった民俗学者、宮本常一らの民具コレクションから「つかむ」「たたく」といった手の機能を延長した箸や金槌などを選び、手と道具の関係を探っている。

 その分類で言えば、手足形は手の「癒やす」という働きを延長した呪術用具となるだろうか。奉納は今も絶えずに続いているという。

(武蔵野美術大学出版局 2200円+税)=片岡義博

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