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 人工知能によって世界はどうなるのか。知りたいが、面倒な議論は飛ばしたい。そう思って本書を手にした。AIが人間と社会にもたらすか変化について世界の識者4人が語った特別番組を活字化した。

 物理学、倫理学、科学哲学、ジャーナリズムという異分野の知性による提言と警告。なかでも刺激的だったのは、異質な知性であるAIと関わることで人間自身が変わりうるという指摘だ。

 AIには「人間のような創造性はない」と言われるが、AI固有の創造性を有している。現に囲碁や将棋の世界ではAIが独創的な妙手を発見している。

 AIに一貫した倫理観をプログラミングするためには、人間はまず倫理をめぐる諸問題に答えを出す必要に迫られる。一貫した倫理を完璧に履行できるAIは「殺さない」「盗まない」など人間よりも倫理的な存在となる。それは人間を倫理的に導く存在になりうるということだ。

 これまで不可能だったことが次々実現する。例えば通勤したり農作業をしたりしなくて済む。ではその時、私たちは何をするのか。人類は働く目的や生きる意味といった人生の難問に答えを出さなくてはならない。

 すなわちAIの進化によって私たちは何者になりたいのか、本当は何をしたいのかが問われることになる。識者の一人は言う。人類は種としてようやく思春期を迎え、そろそろ自分たちが何者かを決めるべき段階にさしかかっているのかもしれない、と。

 SFではない。さほど先のことでもない。

(NHK出版新書 800円+税)=片岡義博

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