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 何を隠そう着道楽だ。しかしながら流行完全無視の「好きな服を着てるだけ悪いことしてないよ」状態の我が人生。だから「オシャレな人って思われたい」って、よくわかんない。そら言われたら嬉しいけど、褒められたいがために服を選んだことは、ない。でも「オシャレな人って思われたい」っていう心理状態には興味がある。

 本書は、漫画家で文筆家の峰なゆかによるエッセー『オシャレな人って思われたい!』の第二弾。ファッションに美容、自撮りに靴磨きまで、ありとあらゆる角度から、オシャレでかわいくいるための日々の葛藤や物語が綴られている。

 オシャレな人って思われたいわりに、本書の全体から漂うヤバさが神の域(賛辞です)。だってさ、今シーズンに流行ってるジーンズを探しに行ったのに「今一番オシャレな形」のバリエーションが多すぎて「なんだ、その『犯人は20代から30代、もしくは40代から50代』みたいなノリ。」とか吐き捨てたり、正しい和服のルールに則っていない小娘にネチネチダメ出しする人種を「着物警察」って名付けたり、美容業界の派閥を大きく「美容右翼」「美容左翼」と命名したりするんだよ。美容右翼は小顔や美白に命を懸け、豊胸も辞さない、科学の力を信奉する人々で、美容左翼はオーガニック通り越して、スピリチュアル方面に一直線な人々のことらしいんだけど。ちなみにそれぞれ今最もアツい美容法は、極右が「農薬を毎日寝る前に適量飲むという一歩間違えば即死ぬ」ダイエットで、極左は「膣内にパワーストーンを挿入したまま生活」するという謎の健康法らしい……読んでるだけでしんどい……。

 さらには、ダイエットを繰り返し続けてちょっとやそっとじゃ痩せなくなった自分を「幼い頃から少しずつ毒を摂取し続け、いつしかすべての毒薬が効かない体になってしまった殺し屋一族の息子のよう」って例えだした日には、ちょっと心配になってきた。

 読みながらふと思う。峰なゆかって下ネタどんと来い、あっけらかんとなんでも言ってる印象だったけど、実はかなり内向的な人みたい。スクールカーストの圏外だった学生時代の話とか、運動が苦手で小学校の大縄跳び大会の前日に「おまえがいると負けるんだから明日はぜってー休めよな!!」と言われた過去を未だトラウマとして抱えていたり、肩が前に出てしまい「ゴリラ感」が醸し出されていることがコンプレックスと語ったり。ノリノリのウェイウェイのエキササイズジムで生徒たちがレッスン中に「フゥー!」「イエーイ!!」とパリピならではの奇声を発している中で、一人俯き、二度と行かないことを心に誓いながらエキササイズをしていたり……。

 キラキラと眩しい景色が面白おかしく繰り広げられている分だけ、影は色濃く目に映る。「もっとオシャレな人って思われたい」、その一心で2冊も本を出した彼女は、ひょっとしたら女子のカーストを大番狂わせ、下克上を狙っているのかな。それは……と思うけど、その先に進みたいんだから、突き進む先に見えるものを見てきて欲しい。そして彼女がどんなふうに変わっていくのか見届けたい。インスタ見てみるし、新刊出たらまた読むから。楽しみにしてます、なゆゆ!

(扶桑社 900円+税)=アリー・マントワネット

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