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 (C)2020 Laboratory X, Inc.
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 「これまで耐えてきた量も、頑張ってきた量も、あんたが一番頑張った。こんな時代で生きている自体がすげえことなんじゃ」。これは映画『精神0』の冒頭で、本作の主人公であり、シリーズ前作『精神』出演した精神科医・山本昌知さんが患者さんに伝える言葉です。患者さんに寄り添い、「あんたたちも大変じゃな。自分たちの思い通りにならんことばかりなのに」と肯定し続けます。

 先生の言葉は優しくて、どれだけの患者さんの心を救ってきたのかがよく分かります。そんな患者さんたちの信頼を一身に背負ってきた、彼らの命綱のような存在でもある82歳の山本先生が引退となると、患者さんたちの不安が爆発してしまう。不安な患者さんたちの心の内をゆっくりと聞いて、納得するまで話を聞いて、山本先生は彼らと丁寧に別れを告げていきます。精神疾患の引き継ぎは心の引き継ぎであり、癌などの体の病気の引き継ぎとは違う。患者さんたちが「たった数分しか聞いてくれないような精神科にいくのは怖い」という言葉は切実で、患者さん一人一人が理想の診療に出会うのは難しいし、患者と医師の絆の大切さを改めて感じさせられました。

 精神医療の現実と同時に、私たちが目撃するのは山本先生と奥様の現在の様子。これまで精神医療に命を捧げてきた山本先生が、老いた妻と暮らす日々。支える人間と支えられる人間、支えてきた人間と支えられてきた人間。コロナ離婚だなんだという話題が多い現代だからこそ、二人の夫婦像から学び、自分たちの将来をもう一度想像してみてもらえればと思います。(森田真帆)★★★★★

監督:想田和弘

仮設の映画館にて配信中

https://www.temporary-cinema.jp

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