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 (C)2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ
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 (C)2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ

 当初の公開日は4月24日だった。それが緊急事態宣言でずれ込んだ。内容面も含め、恐らく最もコロナ禍を被った映画だろう。老人が夜のBARをハシゴし、紫煙に曇る狭い地下の店に集う。3密をあおるような話だから。

 主人公は74歳の売れないハードボイルド作家。リアルな描写にこだわるあまり本物のヒットマンに取材して執筆していたら、伝説のヒットマンだと勘違いされて暴力団から命を狙われる…。ボギーを気取ってトレンチコートにブラックハット、サングラス姿で都会の夜をさすらう石橋蓮司が、一方で毎朝分別ゴミを出したり妻の下着を干したり…昭和の空気を再現することで今の時代を浮き彫りにする阪本順治監督の手腕が見事だ。

 ハタから見ればおかしいのに、当人は至って真剣。そんな時代遅れの男の美学が、ユーモアだけでなくペーソスも生み出す。鏡を駆使したオープニングや、的確な長回し撮影が引き出すクセモノ俳優陣の相乗効果…映画としての佇まいもさすがで、『どついたるねん』『大鹿村騒動記』など“男”を描かせたら右に出る者のいない阪本監督のフィルモグラフィーの中でも最高傑作に推したくなる。その上、時代遅れ感に関しては、今回のコロナ禍でさらに強まったのではないか。1年後に観直せば、否、5年後10年後と時を経るほどに輝きを増しそうで、2020年の邦画の個人的なベスト1は、この作品でほぼ間違いない。(外山真也)★★★★★

監督:阪本順治

脚本:丸山昇一

出演:石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり

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