津波被災地と見まごう惨状 岡山・総社、真備ルポ
2018/08/06 12:34
西日本豪雨で岡山県倉敷市真備町を流れる末政川の堤防の決壊場所について説明する男性(左)=11日午後4時6分、岡山県倉敷市真備町有井
水に漬かった工場が爆発し、その爆風でことごとく破壊された屋根瓦と窓ガラス。決壊した堤防から町中に流れ込んだ泥水と土砂。西日本豪雨で被災した岡山県総社市と倉敷市真備町地区では、地震や津波の被災地と見まごう惨状が広がる。住民らは後片付けに追われる一方、「家をどう再建したらいいのか」と途方に暮れる。当たり前の日常を取り戻す道のりは遠い。
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必要な支援を調査するため、11日にひょうごボランタリープラザ(神戸市中央区)が岡山県に派遣した職員に同行取材した。
「火山が噴火したのかと思うくらいの衝撃だった」。総社市下原の男性会社員(67)は、自宅敷地に散乱する粉々の窓ガラスを見ながら振り返った。
川を挟んだ対岸のアルミ工場が6日深夜に爆発した。下原地区の住宅は爆風で多くの家の窓ガラスが割れ、屋根瓦も吹き飛んだ。火災で焼けた住宅もある。
一夜明けて片付けに取りかかろうとした矢先、川の氾濫で避難した。自宅は床上浸水。妻が経営する美容室で生活を続ける。家は建て直しを検討している。
警察の現場保存が長引き、ボランティアらが同地区で活動を始めたのは10日から。総社市社会福祉協議会の中井俊雄事務局次長は「ニーズに追い付かない」と人手不足を訴える。
◇
下原地区に隣接する倉敷市真備町。町域に入ると、泥にまみれた家財があちこちで山積みになっていた。道も土砂にまみれたまま。信号機が止まり、朝夕は交通渋滞が激しいという。
同町有井では1級河川の小田川の支流に当たる末政川の堤防が決壊。すぐ東側に一時約300人が孤立した「まび記念病院」が見える。
決壊地点の近くに住む男性(63)の戸建て住宅は、新築時に土台を約2メートルかさ上げしたが、1階部分が全て水に漬かった。「ここまでの事態は想像できなかった。家は補修したいが、できないなら建て替えるしかない」
11日夕、雨が降り始めた。注意を呼び掛ける消防車のスピーカー音が響く。決壊した堤防は手付かずのままだ。(金 旻革)