災害ボランティア 進む組織化、多様性排除に警鐘

2018/08/06 15:19

支援物資の土のうを持つ村井雅清さん(被災地NGO恊働センター提供)

 大阪府北部地震、西日本豪雨と大規模な災害が相次ぎ、災害ボランティアの在り方に改めて注目が集まっている。兵庫県からも多くの人が被災地に駆け付けた一方、発生直後は混乱を恐れ、ボランティアの受け入れを制限する自治体もあった。阪神・淡路大震災を契機に発足し、国内外で災害支援を続ける「被災地NGO恊働センター」(神戸市兵庫区)顧問の村井雅清さん(67)は「ボランティアは多様で、自由であるべき」だと強調する。 関連ニュース 兵庫県内のボランティア11人が石川・珠洲市へ出発 能登半島地震発生1年半を前に 災害ボランティア団体、事前登録制度が7月開始 内閣府が審査、都道府県の「協力命令」可能に 災害ボランティア支援強化訴え国に要望書提出 神戸の団体

 村井さんは「ボランティア元年」と言われた阪神・淡路の当時を「誰もが初心者。自分で考えて行動していた」と振り返り、「現地に赴き、目の前の困っている人を助けるのが本来のボランティア。困ったときに助け合うという、原点に立ち返る必要がある」と力を込める。
 現在は「初心者のボランティアは現場を混乱させる」という言説が、活動に二の足を踏む人を生んでいると指摘する。自身が講義を担当する大学で、学生が「初心者が被災地入りすべきではないと思っていた」と話したといい、「ボランティアが組織化され、多様性が排除されていると感じる」と危惧する。
 受け入れ組織や体制を整える間に、被災者が置き去りにされるとし、「どんどん活動し、得られた気づきや成果を次の活動に反映すべきだ」と主張する。
 一方、自治体職員に災害時の知識が不足している現状に警鐘を鳴らし、「避難所の環境整備が23年前から進歩していない」と話す。同センターは現在、広島県坂町にある避難所の運営を支援。ほこりまみれの避難所を掃除し、町役場に依頼して間仕切りや段ボールベッドを整えたという。
 西日本豪雨の被災地ではまだまだボランティアが不足しているとも感じる。「泥出しだけでなく、被災者の話を聞く存在も欠かせない。耳を傾ける中でニーズも分かってくる」と同センター代表の頼政良太さん(30)。村井さんは「ピラミッド型ではなく、ボトムアップ型の支援を続けることで、見捨てられる人をなくしたい」とする。(太中麻美、金 旻革)

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