西日本豪雨 まちの復旧懸念「人手足りず」 線路上、タンク車無残

2018/08/06 15:20

西日本豪雨で岡山県高梁市の川が氾濫し、川沿いの家屋が床上浸水の被害に遭った山口賢治さん(右)の話を聞くひょうごボランタリープラザの高橋守雄所長=岡山県高梁市落合町阿部 

 JR伯備線の線路上、コンテナのようなものに乗り上げ、浮かぶように放置されたタンクローリー。土ぼこり舞う中、目を疑う光景が広がっていた。神戸から車で約3時間、岡山県中西部の高梁(たかはし)市。西日本豪雨で氾濫した川の水が人口約3万人の町を襲った。あまり報道されていないためか、支援が少なく「人の手が足りない」と嘆く住民。そんな中でも、同市内の看護学校を卒業したという姫路市の女性がボランティアに汗を流していた。(金 旻革) 関連ニュース 大雨時、アンダーパスに注意 三田市、7月8日の豪雨で5カ所冠水、車立ち往生 台風被災も経験「コミュニティー放送局にできることがある」 FMジャングル「挑戦続けたい」 【山形・秋田大雨】気候変動、対策追いつかず きょう1年、続く仮住まい


 必要な支援を調査するため、ひょうごボランタリープラザ(神戸市中央区)が11日、岡山県へ派遣した高橋守雄所長(69)ら職員4人に同行取材した。
 「ここまで水が来たんだから」。高梁市落合町阿部地区の内装業山口賢治さん(59)は、玄関の壁を指した。高さは約1・7メートル。1階が浸水し畳やたんすなど家財の多くを捨てることになった。庭には家具が山積みになっていた。
 阿部地区は高梁川と成羽川の合流地点にある。氾濫した川の水は、川沿いに立ち並ぶ住宅をのみ込んだ。市内を通るJR伯備線の線路上には、水に流されたタンク車が手つかずのまま残り、被害の大きさを物語っていた。
 幹線道路の県道は信号機が止まり、道路や歩道は土と泥にまみれている。沿道のパチンコ店やガソリンスタンドでは従業員らが泥出し作業に追われていた。
 「大好きな町のために頑張りたい」。姫路市から駆け付けた藤丸真衣さん(26)は高梁市内の看護学校を卒業した。この日が初めてのボランティア。ごみの搬出や浸水家屋の片付けを手助けしている。
 高梁市社会福祉協議会は9日、災害ボランティアセンター(ボラセン)を開設。10、11日とも300人近くのボランティアが参加した。だが、阿部地区で出会った地元男性は「全然足りない」と言い切る。「300人いても10人一組で30軒分しか対応できない。今後は家の解体ができる人や重機も必要。頼りにしていた近隣の倉敷市と総社市も被災した。断水で風呂も入れない。支援の手はいくらでもほしい」

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ