県内で土砂崩れや浸水被害相次ぐ 宍粟の男性、安否不明
2018/08/06 15:33
流出した土砂で埋まった道路=7日午前8時45分、神戸市灘区篠原台(撮影・中西大二)
降り続く大雨は、兵庫県内の15市町に初めての特別警報をもたらした。対象地域では土砂崩れや浸水被害が相次ぎ、宍粟市では1人暮らしの男性(63)と連絡が取れなくなっている。
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崩れた土砂で民家に被害が出た宍粟市一宮町公文の小原地区(6世帯13人)。真っ暗な早朝、山あいの集落にごう音が響いた。流された民家の近くに住む男性が異変に気づき、同市一宮市民局に通報したという。民家で1人暮らしをしていた男性(63)の安否が不明になっている。
付近は6日深夜から7日未明にかけて激しい雨に見舞われ、5日午前4時から7日午前9時までの総雨量は431ミリを記録。市によると、同地区へ通じる道で土砂崩れが起き、隣の集落3世帯5人ともに孤立状態になっている。
同市波賀町谷でも木造2階建て民家が土砂に押し流された。住人の男性(65)ら3人は近くの公民館に避難して無事だった。男性は「家が流されたと聞いて見に行くと跡形もなかった」と肩を落とした。
同町と同市千種町を結ぶ国道429号の鳥ケ乢トンネル付近でも土砂崩れがあり、通行できなくなっている。同市内ではほかにも27カ所で県道などが通行止めになっており、市は県を通じて陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
丹波市春日町山田の特別養護老人ホーム「おかの花」では7日午前2時ごろ、山から流れてきた雨水が1階の窓から流入し、利用者の居室8部屋などが床上まで浸水した。1階にいた利用者18人や職員らにけがはなかった。男性職員は「利用者の皆さんにけががなくてほっとした。早く止んでほしい」と語った。
篠山市宇土の弘誓寺では、裏山が幅約20メートル、高さ約10メートルにわたって崩れた。土砂は墓石などを倒したが、けが人はなかった。午前8時ごろから消防団員約10人が駆けつけ、防火用水の増水対策で土のうを積むなどして対応したという。
2004年の台風23号で川が氾濫し、大きな被害が出た豊岡市では、全域に避難勧告が出された。同市中陰の豊岡北中学校では、約40人が一夜を過ごした。
女性(73)=豊岡市赤石=は大雨特別警報を聞き、家族6人と慌てて逃げてきた。自宅は円山川に近く「3歳から小学6年生までの孫がいるので、動けなくなる前に家を出た。台風23号を思い出してしまう」と声を震わせた。
また、養父市では午前0時40分ごろ、70代男性が、停電時に自宅で転倒して頭に軽傷を負った。(古根川淳也、大田将之、尾藤央一、秋山亮太)