避難所に畳を 職人ら連携、岡山、広島に700枚

2018/08/06 16:05

避難所に畳を届ける畳店主ら=7月20日、岡山県総社市美袋(「5日で5000枚の約束。」プロジェクト実行委員会提供)

 西日本豪雨で被災した岡山、広島両県の避難所に、畳職人が新品の畳約700枚を送り届けた。その半数以上を神戸や姫路、加古川など兵庫県内の37店が手掛けた。夏でも涼しく感じられる吸湿性やイグサの香りによるリラックス効果などが、被災者の癒やしにつながっているようだ。 関連ニュース 鹿児島・悪石島の避難者1人に 新たに5人戻る 【能登地震初期対応報告書】避難所運営の課題を指摘 石川県に主体的取り組みと被災自治体との連携提言 首相、津波避難の検証指示 炎天下で長時間、防災相に

 送ったのは、全国約500の畳店が参加する「『5日で5000枚の約束。』プロジェクト実行委員会」。神戸市兵庫区の畳店主、前田敏康さん(47)が発起人となり、2013年に設立し、熊本地震などの被災地にも送り届けてきた。
 今回は、自治体からの聞き取りと、実際に避難所を訪れて需要を確認し、約700枚を届けることを決めた。7月10日の岡山県矢掛町を皮切りに、同県倉敷市真備町や総社市、広島県東広島市などの計15避難所に寄贈。このうち、被災地に近い兵庫の店主らが倉敷、総社両市向けに計約370枚を製作し、現地のメンバーが全量を搬送した。
 前田さんらは、利用状況を確認するため、倉敷市などを訪問。脚を伸ばしてリラックスする被災者の姿に安心したという。現地で活動する石原正明さん(58)は「兵庫の仲間の協力はありがたい。被災者も喜んでくれた」と語る。
 実行委員会メンバーは熊本地震以降、畳の規格を統一し、重さを6~7キロと通常の半分以下に抑えた。避難者が動かしやすくするための配慮だ。
 西日本豪雨の被災地では引き続き、避難所の再編に伴う畳の移設などの活動を続けている。必要があれば追加で製作するという。活動に加わった伊丹市の長澤一徳さん(55)は「それぞれが無理のない枚数で一刻も早く届けようと取り組んだ。畳には各店の気持ちが乗っている」と話す。(大島光貴)

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