人工林荒廃で災害時の流木による被害拡大 実態把握できず
2018/08/08 10:34
橋脚に詰まり、川をあふれさせた流木=7月7日、宍粟市一宮町河原田透過型
西日本豪雨では各地で流木が川をせき止めて氾濫をもたらし、宍粟市一宮町の河原田地区でも橋に流木が詰まって周辺の公民館や工場が浸水した。
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災害時に各地で流木による被害が拡大している。その背景には、戦後植林された人工林の荒廃があるとされる。人工林面積が兵庫県内最大の宍粟市でも所有者不明の山林が増えており、荒廃の実態すら把握できないのが実情だという。
スギの価格は1980年に1立方メートル当たり約4万円だったが、近年は1万3千円程度に低迷。山林の放置を加速させている。
県立森林林業技術センター(同市)の藤堂千景主任研究員によると、スギなどは間伐しないと根株が発達せず、土砂崩れが発生しやすくなる。山腹が崩れると土砂と立木が土石流となって谷を削り、川沿いの木を巻き込みながら流木が増えていくという。
流木の予防は人工林の間伐が不可欠。また、ケヤキなどの根が強い樹種を渓流沿いに植樹し、流木を食い止める方法も研究されている。ただ、樹木による抑止力には限界があり、透過型ダムなどの必要性が指摘されている。(古根川淳也)