日本工科大学校の学生が豪雨被災の名車を復元へ

2018/08/20 19:20

旧車の修復作業に当たる日本工科大学校の学生ら=姫路市兼田

 西日本豪雨で甚大な被害が出た岡山県倉敷市真備町地区で水没した“旧車”9台を、日本工科大学校(兵庫県姫路市兼田)の学生や教員がボランティアで修理している。いずれも昭和40~50年代に人気を博した名車ばかりで、同町の名車ミュージアム「マビ昭和館」で展示されていた。学生らは今では手に入らない旧車の構造に悪戦苦闘しながらも、夏休み返上で作業に励んでいる。(井沢泰斗) 関連ニュース バレー新リーグ盛り上げろ! ヴィクトリーナ姫路がプレシーズンマッチ 9月5、6日 観戦無料 「戦争やめて」願い絵画に 姫路市で「非核平和展」 9月1日まで 追悼の思いを歌に 「佐用いのりのとき合唱団」、25日に最後の公演

 水に漬かった名車は20台以上。地元の高校などが修復に名乗りを上げたが、技術も人手も足りず、ボランティア活動を検討していた同校に要請が届いた。同校には岡山から通う学生もおり、自動車整備士の資格を持つ一級自動車工学科の学生約20人が交代で作業することになった。
 今月上旬に教員らが同館から同校に運び込んだ9台は、初代の三菱「コルト」や「ギャラン・シグマ」、マツダ「キャロル」、ダイハツのオート三輪など、昭和期に一世を風靡した人気車ばかり。被災前は動いたというが、エンジン内部まで泥水が入り込んでいた。
 ほとんどが製造メーカーのミュージアムなどにしか残っていない貴重な車とみられ、車体工学科の松田智志学科長(49)は「細心の注意を払いたい」と慎重に修理計画を練る。作業に当たる男子学生(21)=4年=は「実習で触る車より年代が古く、構造が分かりづらい」と汗をぬぐう。
 車体や室内の洗浄、電気系統の修復・取り換えなども手掛け、9月中の返還を目指す。別の男子学生(21)=同=は「再び動かせるよう頑張りたい」。地元佐用町で2009年の県西・北部豪雨を経験した男子学生(21)=同=は「こうして協力できることがうれしい」と力を込める。
 浸水被害で自宅も全壊したという同館の丸岡律夫館長(78)は「修理工場はどこもいっぱいで、大変な時に応援してもらえるのは本当にありがたい。車が戻ってくれば、何とか再開したい」と前向きに語った。

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