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ここで働く

ここで働く-20代の選択-(1)移住

2017.01.01
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建設コンサルタント会社 吉田聡さん

建設コンサルタント会社 吉田聡さん

養鶏農業協同組合 中西星怜奈さん

養鶏農業協同組合 中西星怜奈さん

 ■志を胸に縁なき地へ

 兵庫県加古川市には縁もゆかりもなかった。愛媛出身、大学は広島。東京の生活にも憧れていた。建設コンサルタント「一成」(加古川市上荘町薬栗)に入社して3年目の吉田聡さん(26)は、あえて東播で働くことを選んだ。

 生来の生き物好き。動物研究などで大学院まで進んだ。東京や大阪を中心に就職活動をしたが、インターネット検索で今の勤務先を見つけた。大学で学んだ自然環境調査以外に、住民啓発事業など業務は幅広い。何より業界では珍しく、調査、解析、報告書作成と一貫して携われるのが魅力だった。「責任を持って仕事に関われる」。東京の大手の内定を断り、入社を決めた。

 ただ移住することになる加古川市の知識は「明石と姫路の間にあるJRの駅名」という程度だった。「関西なので、みんなボケとツッコミを強要するのでは、とかいう不安も少しあった」と笑う。

 住んでみると“誤解”は解けた。神戸などには簡単に出られる。登山が趣味で休日には高御位山などに登り、加古川河口などで野鳥を眺める。播州弁にも慣れてきた。「ちょうどいい都会で田舎。それなりに生活も楽しめている」と話す。

 現在は、長野県内の森で行った現地調査結果をまとめる作業に取り組む。仕事は充実している。「先のことは分からないけど、会社がある限りここに住むと思う」とほほ笑む。

   ■ 

 食品加工などを行っている「印南養鶏農業協同組合」の土山事業所(稲美町六分一)で勤務する1年目の社員、中西星怜奈(せれな)さん(22)も東播の「住みやすさ」が気に入っている。

 京都府北部の京丹後市出身。大阪府内の私大で生命科学を学んだ。稲美町については「名前も知らなかった」。阪神間の数社からも内定を得たが、添加物を使わないという今の勤務先に魅力を感じ、未知の地に飛び込んだ。

 「京丹後市も田舎。ごちゃごちゃしていない場所がいい。大阪で就職していても、都会から離れた所に住んだと思う」。住まいは播磨町を選んだ。

 野菜入りハムの新商品開発に励む一方、新天地も徐々に“開拓”。評判の店で同期らと食事したり、名物のパンを買いに行ったり。大学の友人は多くが大阪で就職した。会うには出向かないといけないが、「こっちにも来てほしい。いろんな店を一緒に回れたら」。楽しみはこれからだ。(伊丹昭史)

   ◇   ◇

 多くの産業を抱える東播地域。未来を担う若者たちはさまざまな選択をして、ここを働き場所と定めた。彼らの「今」を見つめたい。

 ◆20代の転出入 総務省の住民基本台帳人口移動報告(2015年)によると、東播2市2町ではいずれも20代は転出超過となっている。高砂市、稲美町、播磨町は、転出入ともに加古川市との移動が最多。加古川市への転入は神戸市からが最も多い。加古川市からの転出は大阪府と神戸市の順でほぼ拮抗(きっこう)し、明石市も多い。