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「個人の心に寄り添えるのは芸術の大きな力」と話す赤松林太郎さん=神戸新聞社(撮影・三津山朋彦)
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「個人の心に寄り添えるのは芸術の大きな力」と話す赤松林太郎さん=神戸新聞社(撮影・三津山朋彦)

「個人の心に寄り添えるのは芸術の大きな力」と話す赤松林太郎さん=神戸新聞社(撮影・三津山朋彦)

「個人の心に寄り添えるのは芸術の大きな力」と話す赤松林太郎さん=神戸新聞社(撮影・三津山朋彦)

 「文化・芸術が苦境だと声高に叫ぶよりも、いま最も大切なのは人々の生命を守ること。援助の資金は社会的弱者や医療関係者に回すべき」。ピアニストとして第一線で活躍する一方、大学で指導にも当たる赤松林太郎さん(41)の主張は潔い。コロナ禍を機に急速に進むであろう世代交代、社会の構造変化に対応するときと訴える。

緊急事態宣言は今月末まで延長され、先行きは不透明だ。演奏家は本分が発揮できない状況が続く。

 文化の世界で2通りあって「何かをしないといけない」とリーダーシップをとって行動する人、一方で「このままでは食べていけない」と苦境を強く主張する人。会員制交流サイト(SNS)で自分の意見をどんどん出すのでポジティブとネガティブがくっきり映る。

 演奏できないジレンマ? ないですよ。だって今必要とされてませんもん。押し売りしてはいけない。必要とされてないものを押しつけるのはエゴにすぎない。そこには選ばれて高尚なことをしているという自意識が透けて見える。コンサートよりも命の現場ですよ。本来、終息まで耐えられる胆力は芸術家はもっているはずです。

 そもそも私たちは弱者にいるとあまり声高に主張するのはどうかと思う。状況を見極めながら次に何を行動するかを考えていかなければならない。それは政治や経済の世界のようにお金で解決するようなことでは当然ありません。

歴史をみればパンデミックの後、社会は変化する。ペスト、コレラ、天然痘…。変化を見据える力が問われる。

 いろんな分野で世代交代や構造変化が一気に進む気がします。ピンチはチャンスだと現れるビジネスもあるでしょう。加速する流れにのみこまれがちだからこそ、現状の対策とともに、各分野で持続的な検証が必要です。音楽の歴史をみてもそれぞれの時代に刻まれた人々の苦悩がある。それを学ぶことはいまを乗り切る力になるはずです。

 テクノロジーとして注目されるSNSは一過性で残らない。とはいえツールとして活用する中で当面の「癒やし」を提供するとともに、コロナ禍後の学びを補完できる良質のサービスも準備しなければなりません。

 最後までコントロールしえないのが人間の心です。不安や闇にアプローチし、心をケアできるのが芸術の大きな力です。その本来の対象は強い人間ではなく、悩み、傷付き、苦しんでいる人たちです。音楽、演劇、文学、芸能…。コロナ禍は、同時代に何を問い、何を発信できるかを考え直す機会でもあるのです。(加藤正文)

【あかまつ・りんたろう】1978年、大分県生まれ。2歳から神戸で育つ。兵庫高、神戸大発達科学部卒。パリ・エコール・ノルマル音楽院を経て欧州で演奏活動。2007年に東京でデビュー。大阪音楽大大学院特任准教授、洗足学園音楽大大学院客員教授。

2020/5/12
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