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 新型コロナウイルスの第2波に備えた兵庫県内の医療体制は現在、病床数が最大515床(重症者約90床)。軽症や無症状の陽性者を収容する宿泊療養施設が最大700室。「1日40人の新規感染者が1カ月続いても対応できる」(県医務課)体制を整えたのは第1波の教訓だ。感染者数がピークを迎えた4月、兵庫の医療体制は“崩壊寸前”に陥っていた。(金 旻革)

 「中央がつぶれる…」

 国の緊急事態宣言から2日後の4月9日、神戸市保健所。その一報を耳にしたとき、同市のコロナ対策を仕切る予防衛生課の尾崎明美担当課長は動揺した。

 市立医療センター中央市民病院で、入院中の70代女性の陽性が判明したというのだ。

 県が位置付けるコロナ治療の基幹病院。市内では当時、感染者を受け入れるベッドは約100床(11病院)しかなく、大部分は中央市民だ。その頃、市内の新規感染者は1日10人前後のペースで増えており、「7、8人の入院先がない状態が続き、中央に頼っている状況」だった。だが、院内感染の拡大で軽症者の受け入れができなくなった。

 市内の感染者が累計142人に達した4月14日、市内の病床は全て埋まる。保健所では入院先を確保できなくなった。

 神戸市の“崩壊”を救ったのは、県が3月に組織した「入院コーディネートセンター(CCC)」だ。3月に伊丹市の高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が発生し、一つの保健所管内で対応不能になった教訓を踏まえ、急きょ立ち上げたチームだった。空き病床を全県的に把握し、県内に17カ所ある保健所が依頼すれば、コロナ患者を広域で調整するのが役目だ。

 神戸市であふれた感染者は伊丹や姫路市内の病院に搬送することができた。

 「CCCがなければどうなっていたか…」。尾崎担当課長は振り返る。

   ■    ■

 兵庫県の新規感染者のピークは4月11日の42人。このまま感染爆発する恐れすらあった。

 県は500床を確保する方針を4月3日に表明していたが、11日時点のベッド数は246床。そして9割近くが既に埋まっていた。

 翌12日、CCCメンバーの看護師、浅田弘子さん(56)は受け入れ病院の空き状況を一覧にしたプリントを見た。「0」の数字が並ぶ。感染者が多い阪神間は軒並み満床だ。

 「ゼロでもお願いするしかない」。浅田さんは他の看護師と申し合わせ、片っ端から電話をした。

 中央市民と同様、県の基幹病院の一つである県立加古川医療センターに空きはあったが、重症者のために温存する必要があった。

 実際、重症者も急増する。県全体で重症病床が30床しかない中、4月19日には28人が入院。残り2床の「危険水域」に達したが、病床を増やして乗り切った。

 難航する入院調整。1人の搬送先探しに1時間かかることもあった。そんなとき、ある病院は「うちはいっぱい。でも、他の病院が無理なら預かる」と応じてくれた。「感謝しかない」。浅田さんは振り返る。

   ■    ■

 兵庫県が危機を回避できたもう一つのポイントは、患者のホテル移送だ。

 国は4月2日、無症状や軽症の感染者を「自宅やホテルで療養可能」とする新たな指針を示す。それまでは症状がなくても入院が原則。危機に対応した政策転換だった。

 県医務課の沖田謙吾副課長(50)は「県内の感染者がこのまま増加すれば4月2週目に病床はパンクする」と試算し、すぐに動く。ホテルなどの協力を取り付け、4月13日までに2施設約180室を稼働させる。

 当時、県が確保していた病床数は259床。入院患者は262人になり、数字の上では3人があふれた。だが、同日までに25人の軽症者らを移送し、綱渡りの状況を打開する。

 「ホテルへの移送開始が1週間遅れていれば、医療を適切に受けられない患者が生まれていた」と沖田副課長。“医療崩壊”は現実味を帯びていた。

■病床515床、ホテル700室を確保 県、第2波に備え

 兵庫県内では5月17日以降、新型コロナウイルスの新規感染者ゼロが続いたが、今月19日に34日ぶりの感染者が出た。感染者は累計702人。死者は43人だ。

 県は第2波に備え、新規感染者が1週間平均10人未満の「小康期」▽「警戒期」(同10人以上)▽「増加期」(同20人以上)▽「拡大期」(同30人以上)-の4段階に分け、入院が可能な医療機関39施設で最大515床(うち重症約90床)、軽症者らが療養するホテルなどの宿泊施設計700室分を確保。コロナ病床は現在約200床を運用し、流行状況をみて増床する。

 想定は第1波よりも感染が深刻なシナリオを描き、「1日40人が1カ月続いても対応できる」(県医務課)枠組みという。だが、第2波がもし、感染爆発と言える事態まで拡大したら-。県の担当者は「通常診療との兼ね合いを見極めなければならないが、病床を最大想定より増やすことも検討が必要」と話している。

2020/6/22
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