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「ドライブイン方式」で行われたライブ。イベント主催者の模索が続く=5日、神戸市中央区(撮影・秋山亮太)
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「ドライブイン方式」で行われたライブ。イベント主催者の模索が続く=5日、神戸市中央区(撮影・秋山亮太)

「ドライブイン方式」で行われたライブ。イベント主催者の模索が続く=5日、神戸市中央区(撮影・秋山亮太)

「ドライブイン方式」で行われたライブ。イベント主催者の模索が続く=5日、神戸市中央区(撮影・秋山亮太)

 高校球児の聖地は、様相が一変していた。

 8月17日、甲子園球場(兵庫県西宮市)であった「2020年甲子園高校野球交流試合」の最終日。東西を代表する強豪校の対決となった大阪桐蔭-東海大相模の一戦は、終盤まで競り合う好試合になった。

 だが、スタンドに大観衆はなく、一隅に部員や保護者が間隔を空けて陣取るのみ。静寂に金属バットの打球音が響く。2-2の八回。大阪桐蔭の主将が左翼線に2点適時打を放ち、実況アナウンサーの声がこだました。

 例年はファンであふれる球場周辺も閑散としていた。高校野球グッズ店「甲子園桃太郎」の太田雄一郎社長(37)は「こんなに静かな夏は生まれて初めて」とつぶやく。今夏は交流試合の記念商品を販売するが、売り上げは例年の2、3割程度という。

 毎年、80万人以上の観客を集める夏の全国高校野球選手権大会。50万人前後を集める春の選抜高校野球大会。新型コロナウイルス感染拡大による両大会の中止は、飲食、物販、警備、輸送といった「関連産業」に深刻な影響を及ぼす。

 同球場で1試合平均約4万4千人(2019年)を集めるプロ野球阪神の主催試合も、観客5千人の入場制限に。ピーク時は1日2万5千杯を売り上げるビール販売も、客数に比例して大幅に減少している。

 場内の販売業者は「食べ物も含め、全ての収益がかなり減っている」と嘆く。球場によると、1日のビールの売り子は150人超(最大時)から、20~30人にまで減った。

     ◆

 集客によって成り立つイベント・エンターテインメント業界は、そのためにコロナ禍の直撃を受けた。

 神戸・三宮の老舗ライブハウス「チキンジョージ」は3月末から6月末まで休業。ライブを支える技術職も行き場を失った。ベテランの音響担当、正木毅さん(55)は収入が9割近く減少。同業者は相次いで撤退し、知人も別業種へ転職した。照明担当の野々村奈央さん(34)も5~6月は週5日、保険会社のコールセンターに勤務したという。

 6月末以降、チキンジョージは入場数を20~30人に制限してライブを再開した。専務取締役の児島勝さん(57)は「人数が制限され、イベントとして成立していない」。それでも公演を開くのは、スタッフの仕事をつくるためでもある。

 規模が大きいほど、制約は大きい。5日、メリケンパーク(神戸市中央区)の特設ステージに、4組のアーティストが登場した。前にしたのは、約20台の車。参加者は車内のFMラジオを通じて演奏を聴く。

 昨年は3日間で7万人を集めた複合イベント「078KOBE」の一環だ。音楽以外は全てオンラインに切り替えた。プロデューサーの永吉一郎さん(58)は「制限が続けば、音楽や映画などの興行は死んでしまう」と、改めて感じた。

 政府は19日から入場制限を緩和する方向で検討を始めた。朗報と受け止めつつ、永吉さんは先の読めない疫禍(えきか)の今後を見据える。

 「私たちは、新型感染症と共存する道を探るしかない」

(井川朋宏)

2020/9/9
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