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資料箱に入った感染者の情報ファイルが業務量の多さを物語る=尼崎市七松町1、尼崎市保健所(画像の一部を加工しています)
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資料箱に入った感染者の情報ファイルが業務量の多さを物語る=尼崎市七松町1、尼崎市保健所(画像の一部を加工しています)

資料箱に入った感染者の情報ファイルが業務量の多さを物語る=尼崎市七松町1、尼崎市保健所(画像の一部を加工しています)

資料箱に入った感染者の情報ファイルが業務量の多さを物語る=尼崎市七松町1、尼崎市保健所(画像の一部を加工しています)

 兵庫県内で新型コロナウイルス「第3波」の収束が見えない。各保健所は、混乱を極めた「第1波」とは違う悲鳴を上げている。高齢の感染者が増え、隔離病室での「介護」という問題も生じている。春先から続く長期戦のなか、感染者の調査と入院調整を担う職員の疲労は限界にきている。(霍見真一郎)

■追跡調査

 「第3波って、兵庫では11月以降のように言われますが、同県尼崎市には10月下旬から、大阪からの調査依頼が相次いでいたんです」

 保健所のコロナ対応は、「疫学調査」を通じてウイルスの行方を追いかけるのが主な役割の一つだ。

 緊急事態宣言が出た「1波」と異なり、今回は通勤や観光、会食などの社会的な交流が止まっていないため、濃厚接触者は市外在住者も多い。

 その場合、当該市に調査を依頼するため、大阪と近接する尼崎市保健所では10月に約50件だった大阪府内からの依頼が、11月は約100件に膨らんだ。

 11月半ばになると、朝、職員が出勤した時点で市内の病院から検査陽性を知らせるファクスが10件ほど届くようになった。

 「だれと食事に行きましたか」「何時間くらい? アルコールは?」…。一人一人に電話をかけ、30分~1時間ほどかけて行動歴を聞き取り、報告書をつくる。1人の感染者に濃厚接触者が20人いるケースもある。そこから新たな追跡調査が始まり、雪だるま式に対応件数が増えていく。

 同市新型コロナ対策室の波多伸一郎調整担当課長は「応援職員も入っているが、毎日、夜遅くまで残ってなんとかこなしている状態だ」と話す。

■入院調整

 神戸市保健所も応援職員を入れ、通常の2倍以上の約200人体制だ。「それでもぎりぎりの状況」と伊地智昭浩所長は明かす。

 クラスター(感染者集団)が市内各所で発生し、1日当たりの感染者数は9日、過去最多の87人に。その結果、厳しさを増しているのが入院・入所調整だ。

 病院や高齢者施設でクラスターが発生すると、食事やトイレの介助が必要な高齢者や、徘徊の恐れがある認知症患者が含まれる場合がある。伊地智所長は「防護具をつけての介護は、重症コロナ患者と同じぐらいの職員が必要になり、結果的に入院できないケースが出ている」と明かす。

 元の施設にとどまらざるを得ない場合もあり、保健師や看護師を派遣して隔離・療養の支援をしているという。

■命を守る重責

 「応援職員は、本来の部署の仕事を抱えたままの人も多い。この状況が長期的に続くと、市民サービスに影響が出かねない」と話すのは、同県西宮市の菅梅聖順・新型コロナ対策室参事。

 急増する感染者に対応するため、市は関係職員の数を「1波」の2倍に増やしたが、それでも職員1人当たりの仕事量は格段に増えたという。

 「阪神地域は重症者を受け入れる病院が逼迫し、調整が難しさを増している」とし、こう訴えた。

 「命に関わる仕事が増え、精神的負担が極めて重くなっている」

     ◇     ◇

【勝田吉彰・関西福祉大教授(渡航医学)の話】 保健所はすでにパンクしていると言ってもいい。応援態勢を敷きながらも、1人の職員が無理をして2倍3倍の仕事をこなしているから維持できている状態だ。この状況が続けば、いずれ入院調整や疫学調査が滞り、保健所の電話が全くつながらない状態が現実になるだろう。職員の多くをコロナ対応に集中させているため、地域の食品衛生や精神衛生など、保健所の必要不可欠な業務に影響が出る恐れがある。

2020/12/12
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