ニュース
2020年の新語・流行語大賞にノミネートされた30語の一つに、「テレワーク」がある。新型コロナウイルスの感染拡大で一気に広まり、昨春の緊急事態宣言解除後に内閣府が行った調査では、経験者が34・6%に上った。とはいえ、一時はガラガラになった通勤電車も、いつの間にかラッシュ時の混雑が戻っているような。この冬の第3波では感染者数がどんどん増え、首都圏に続いて近畿でも緊急事態宣言要請の動きがあるものの、電車の乗客が大きく減ったようには感じられない。テレワークは定着するのだろうか。それとも一時的な流行で終わるのか。テレワーク研究を専門とする、関西学院大学総合政策学部の古川靖洋教授(58)に聞いた。(武藤邦生)
-新型コロナで、テレワークをする人が増えました。どのように見ていましたか。
「振り返ってみると、日本でテレワークが提唱され始めたのは、第1次安倍政権の2006年です。その後、民主党政権時にやや下火になりましたが、第2次安倍政権の13年以降、1億総活躍社会などの政策の中で重点的に推進されてきました。高市早苗・前総務相は『テレワーク普及はライフワーク』と明言しているほどです。それでもなかなか普及しなかった。総務省の19年のデータでは、導入企業は20・2%。制度はあっても、実際に利用できる人は多くはなかったと考えられます。それが新型コロナで一気に広まった。準備期間がほとんどなかったにもかかわらず、まずまずうまくいったと言えるでしょう」
「10年ほど前、テレワークについて独自に調査をしました。未導入の企業に、導入に向けた課題を尋ねると『労務管理が難しい』『評価が難しい』などの回答が示されました。一方、既に導入した企業に同じ質問をすると、これらの回答の割合が低い傾向がありました。導入してみると、案外トラブルは少ないことが見て取れます。やってみて問題があれば、つぶしていけばいいのです」
-それでも緊急事態宣言が解除された後は、出社が当たり前という状況に戻った人が多かったように感じます。
「もともとテレワークで想定していたのは、週に1回は在宅勤務をする、あるいは朝夕1時間ずつ自宅で仕事をして保育所への送り迎えを可能にする、そんな働き方でした。今回のコロナ禍で広がった、まったく出社をしないという働き方は、企業も働く人も想定外と言えます。ずっと自宅で仕事をするのは、多くの人にとって耐えがたいし、細かい打ち合わせは、やはり対面のほうが適しています」
「07~08年にかけて、米シアトルで在外研究をしたことがあります。郊外にあるマイクロソフト本社では、既にワークライフバランスが進んでおり、社員は毎日は出社しません。ただし週の初めは会社に行って、チームで業務の内容や進捗(しんちょく)状況を確認し、メンバーのベクトルがずれないよう調整をしていました。在宅勤務を週に2回などとすれば、継続しやすいと思います」
-東京商議所が昨年秋に行った調査では、22・1%の企業が「テレワークをとりやめた」と回答しています。その理由として「生産性が下がる」と答える企業が最も多かったのが、気になります。
「テレワークをするのは、主にオフィスワーカーと呼ばれる人たちです。私はテレワークとは別に、オフィスワーカーの生産性の研究も続けてきましたが、彼らの生産性を測るのは非常に難しいんですね。結局、客観的な基準で測ることはできないとの結論に至りました。そこで民間企業との共同研究で、『アイデア』『やる気』『情報交換』という指標を提唱しました。アイデアがよく出る、やる気が高い、情報交換が活発である。そうした状況になれば生産性が上がるというわけです。これは出社しての仕事でも、テレワークでも同じです」
「三つの指標のうち『アイデア』は個人の資質による部分が大きいと言えるでしょう。次の『やる気』に関しては組織、企業が介入できます。具体的には、権限委譲を進める、評価方法を加点主義にするなどの方法が挙げられます。特にテレワークの場合、業務内容を明確にし、目標を設定することは重要です。それがなければ、部下は『出社しなくて正当に評価されるのか』、上司も『さぼっているのでは』と、互いに疑心暗鬼に陥りかねない。日本の企業は長年、誰がどんな仕事をするか、あうんの呼吸とでもいう形で決めてきました。働き方改革の観点からも、いつまでに何をするか、はっきりさせるべきでしょう」
-残る指標の「情報交換」で言えば、コミュニケーションの低下はテレワークで常に課題に挙げられます。
「社員が孤立感を抱いてしまうのは危険です。雑談も含め、小まめな連絡は大切です。コミュニケーションはインフラを整えることで、ある程度、活発化できることが明らかになっています。例えば、テレビ電話をつなぎっぱなしにして、いつでもオフィスの様子を見られるようにしておくと、職場の雰囲気がわかるので話しかけやすくなります。監視が目的ではないので、社員はカメラを切っておいてもいいでしょう」
「こうした取り組みによって、テレワークの生産性を高めることは十分可能だと考えています。そもそも移動時間がなく、周囲の影響による仕事の中断が少ない、仕事に集中しやすい、というのがテレワークですから」
-コロナをきっかけに、テレワークは定着するでしょうか。
「そうなると考えています。各種調査を見ても、7割程度の人がテレワークに満足しています。そうであれば、本来の趣旨は多様な働き方なのですから、『これからも続けたい』と思うのは当然です。廃止すれば、不満が出てくるでしょう」
-どのように進めてゆけばよいでしょうか。
「日頃から試しておくことです。定期的にテレワークの日を設け、その日はできる限り、出社をせずに仕事をするのも一つの方法です。テレワークには災害対策の一面もあります。台風や大雪の際、駅に人があふれる様子がニュースになることがあります。予報を踏まえてテレワークに切り替えれば、安全ですし、混乱も起こりません。せっかくテレワークに慣れたところです。これを契機とすべきと考えています」
【ふるかわ・やすひろ】1962年神戸市出身。85年慶応大卒、92年同大大学院博士課程修了。98年関西学院大へ。2003年から現職。著書に「テレワーク導入による生産性向上戦略」など。神戸市灘区在住。
2021/1/10コロナ変異株、神戸の感染者36人 割合は徐々に増加「気を緩めず感染対策を」2021/03/01
兵庫で新たに21人感染 4人死亡 新型コロナ2021/03/01
10万人当たり、東京が感染者最多、死者は北海道 新型コロナ2021/03/01
コロナ回復患者受け入れ 1人当たり10万円給付 県の支援に上乗せ 尼崎2021/03/01
長引くコロナ禍 遺児家庭の暮らしに深刻な影響2021/03/01
緊急事態宣言、兵庫など解除 飲食時短夜9時まで2021/03/01
新型コロナ陽性者 兵庫で初確認から丸1年2021/03/01
百貨店や外食チェーン 緊急事態宣言解除で営業時間延長2021/02/28
緊急事態宣言、1日解除 直前に聞いた街の声は2021/02/28
新型コロナ 兵庫で26人感染、2日連続死者ゼロ2021/02/28
高齢者施設で職員へのPCR検査進む 7万人対象、感染早期抑え込みへ 兵庫2021/02/27
「コロナ収束に向けて頑張ろう宣言」採択 関西広域連合2021/02/27
兵庫県で新たに21人感染 死者なし 新型コロナ2021/02/27
コロナ重症センター出向 最前線で奮闘する看護師とは2021/02/27
センバツ開催は観客1万人以上で 井戸知事が国に要望2021/02/27
ワクチン円滑配送へ「神戸モデル」 10区役所拠点、調整部署も2021/02/27
兵庫の新規感染ピークの1割 重症病床使用率3割に 新型コロナ2021/02/27
高齢者用コロナワクチン第1弾 兵庫は1万人分4月に配分2021/02/26
売り上げ減の中小業者 神戸市が事業所税を減免へ2021/02/25
医療現場の懸念続く、緊急事態宣言解除後の「第4波」へ備え継続2021/02/25
新型コロナ 兵庫で新たに18人感染、7人死亡2021/02/24
新型コロナ変異株 兵庫県内の9人が感染 いずれも海外滞在歴なし2021/02/24
井戸知事、再拡大恐れつつ「宣言解除」要請を決断 新型コロナ2021/02/24
首相、兵庫など6府県の「宣言解除」検討 新型コロナ2021/02/23
兵庫県、緊急事態宣言の解除基準をすべて達成2021/02/23
兵庫県、緊急事態宣言の2月末解除を要請へ 飲食店の時短緩和2021/02/22
飲食店「1時間延長助かる」市民「巣ごもり終わらない」 宣言解除要請で街の声2021/02/22
緊急事態解除要請 全面解除は「感染者一桁にならないと」兵庫県知事2021/02/22
兵庫で新たに14人感染 2カ月半ぶり10人台 新型コロナ2021/02/22
看護師長が語る現状 病棟は今も第3波のまっただ中2021/02/22
相次ぐクラスター 介護施設の高齢者、どう守る…2021/02/21
兵庫で新たに42人感染、2人死亡 新型コロナ2021/02/20
コロナ禍で子の成長不安 減る交流に「悩み事話せる場ほしい」2021/02/20
「尿で重症化予測」研究に協力へ 姫路市が検査、データ提供2021/02/19
兵庫の自治体、接種体制を詰められず苦戦 コロナワクチン2021/02/19
神戸大の新2年生、昨年中止の入学式を4月に 新入生と同日2021/02/19
兵庫の開業医、半数以上がワクチンを疑問視 新型コロナ2021/02/19
ワクチン先行接種、兵庫でも始まる 神戸医療センター2021/02/18
兵庫で新たに46人感染 変異株感染16人目を確認2021/02/18
コロナ感染対策、経済回復に重点 医療や地方回帰支援 兵庫県予算案2021/02/17
「感染78人以下」7日連続達成 「重症病床50%未満」は未達 兵庫の緊急宣言解除2基準2021/02/17
新型コロナ 兵庫で46人新たに感染 11人死亡2021/02/16
新型コロナ 兵庫の新規感染者は27人、3人死亡2021/02/15
兵庫県、基準達成前に緊急事態宣言解除要請も 収束傾向なら大阪、京都と足並み2021/02/15
新幹線不通を受け航空各社が臨時便 大阪、神戸と東北各県の空港結ぶ2021/02/15
兵庫で新たに44人が新型コロナ感染 2人死亡2021/02/14
ワクチン特例承認 副反応不安、病院内の圧力…現場懸念2021/02/13
新型コロナ変異株 兵庫で新たに2人の感染判明2021/02/12
阪急、阪神電鉄が終電繰り上げ 3月13日ダイヤ改正2021/02/12
コロナワクチン承認へ 接種へ準備加速 医療機関大忙し2021/02/12
神戸電鉄の三田線、公園都市線が終電繰り上げ 3月から2021/02/12
兵庫県で新たに53人が感染、8人が死亡 新型コロナ2021/02/11
感染状況のステージ4 兵庫は病床使用率のみに2021/02/10
兵庫で新たに94人感染、7人死亡 新型コロナ2021/02/10
新型コロナ変異株、兵庫でクラスター 渡航歴なしの4人2021/02/09
兵庫で新たに68人感染、8人死亡 新型コロナ2021/02/09
消毒業者、コロナでフル回転 依頼急増で異業種から参入も2021/02/09
兵庫の男女5人が変異株に感染 新型コロナ2021/02/08
兵庫の新規感染33人 3カ月ぶり40人下回る 新型コロナ2021/02/08
緊急事態宣言の解除要請 井戸知事「判断の段階ではない」2021/02/08
兵庫で新たに54人感染 1カ月半ぶりに死者なし2021/02/07
コロナへの理解深める授業 小中学校で広く浸透2021/02/07
コロナの差別的言動 県内11市町の小中で確認2021/02/07
病児保育、コロナで利用激減 在宅勤務増え、子どもの発熱時は出社見合わせ2021/02/07
接触避けるのは難しい 感染拡大、介護現場の苦悩2021/02/07
神戸の介護施設の1割「感染恐れ職員が休・退職」2021/02/07
兵庫で新たに91人感染、3人死亡 新型コロナ2021/02/06
遠隔診療で医療救え 民間病院に専門医助言、導入施設を倍増 神戸市、21年度2021/02/06
ワクチン保管の冷凍庫が到着、2月中旬にも先行接種へ 新型コロナ2021/02/05
緊急事態の解除要請、足並みの乱れ危惧 関西3府県で異なる独自基準2021/02/06
新型コロナ強い感染力が浮き彫り インフル感染者は昨年のわずか0.0006%2021/02/05
飲食店の空席でテレワークを 神戸市が実証事業2021/02/05
コロナ時短協力金「一律6万円」に不公平感2021/02/05
コロナ自宅療養者に食料10日分を無料宅配 神戸市2021/02/05
県内初、コロナ差別防止へ条例制定へ 加東市2021/02/05
県内コロナ死者数 わずか1カ月余で「昨年」超え2021/02/04
兵庫で新たに111人感染 3日連続の3桁台 新型コロナ2021/02/04
罰則、不安拭えず 補償の充実訴え 改正コロナ特措法成立2021/02/04
兵庫2指標なお「ステージ4」新規感染者数は減少傾向 新型コロナ2021/02/04
宣言解除の要請、重症病床50%未満が1週間 兵庫県が基準案2021/02/03
神戸市、最大50万円の家賃補助 宣言で売り上げ半減の中小事業者に2021/02/03
兵庫で新たに120人感染 新型コロナ2021/02/03
兵庫県、時短協力金申請8日開始 郵送とネットで受け付け2021/02/03
コロナ感染で死亡の男性 「中等症サイン」伝達ミス2021/02/02
姫路の民間病院にコロナ専門病棟開設 12床増に2021/02/01
兵庫の市町別コロナ感染者数 振り分けにより変動2021/02/01
兵庫で60人感染、7日ぶり2桁 11人死亡2021/02/01
緊急事態宣言 3府県知事「延長はやむを得ない」2021/02/01
基幹病院、コロナ以外の診療に影 救急受け入れや手術縮小 兵庫2021/02/01
基幹病院の重症病床、ほぼ満床に 重症者の搬送依頼、断るケースも 兵庫2021/01/31
兵庫で新たに111人感染 新型コロナ2021/01/31
「自宅療養」家族も悲鳴 新型コロナ2021/01/31