【前回（ぜんかい）までのあらすじ】

　マルや赤穂（あこう）ニャン士（し）の前（まえ）に現（あらわ）れたシカ「タイシくん」。トンネルについて尋（たず）ねると「普通（ふつう）とは違（ちが）う」「一月十七日（いちがつじゅうななにち）は大切（たいせつ）な日（ひ）」「震災（しんさい）にまつわるもの」「その日（ひ）だけ大切（たいせつ）な人（ひと）に会（あ）える」と答（こた）えた。一月十七日（いちがつじゅうななにち）はおよそ三十（さんじゅう）年前（ねんまえ）、神戸（こうべ）で多（おお）くの人間（にんげん）、ネコが亡（な）くなった日（ひ）だ。タイシくんは言（い）った。「光（ひかり）のトンネルを探（さが）すなら、あまり時間（じかん）はないぞ。今夜（こんや）は大晦日（おおみそか）だ」

　残り文字数 6658 　文字　記事全文 8511 　文字