東須磨小の教員間暴行・暴言問題 神戸市長、教育長ら会議
2019/10/17 10:26
東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題などについて議論する久元喜造神戸市長(左から3人目)や長田淳教育長(右)ら=17日午前、神戸市役所(撮影・大山伸一郎)
神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴力・暴言問題で、久元喜造市長や長田淳教育長らが出席する市総合教育会議が17日午前、市役所で開かれた。
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教委側は、今回の問題を招いた原因として、加害教員の個人的資質、管理職の対応、風土の乱れの3点を挙げた。出席者は「教員である前に人として断罪されなければならない」などと述べた。
教委側の課題として、マンパワーの不足で、オーバーワークになっており、突然の対応があると、それに追われて日常業務がストップするとの指摘があった。また、「教委事務局で議論したことが学校現場に伝わっていないことを痛感している」、「大きな事を変更しようとすると、学校現場から『混乱する』と言われる」、「大事なことが先生方に伝わっていない反省がある」との趣旨の発言もあった。
長田教育長は「心からおわびしたい。加害教員の暴力性、凄惨さなどからみても影響は甚大だ。関係者の処分を行うとともに、子どもたちの心のケアに努めたい」と述べた。さらに「加害側教員の意識が低いことに尽きる。背景として『神戸方式』といわれる人事方式が影響している。この方式を廃止する」と強調。学校の風土について、「学校と教委に溝がある。学校には(問題が発生しても)『学校内で収めたい』との気持ちが強い」とし、ガバナンスの強化の必要性があると主張した。久元市長も「教員側には『教育委員会さん』という意識がある」と、学校現場と市教委との溝がある認識を示した。
会議では問題の背景と指摘される独自の人事システム、神戸方式について「市教委の人事案が作成される前に、異動を希望する教員の名簿が作られ、校長がアプローチする」などと説明があった。
神戸方式は「50年前から、半世紀続いていた。ということはうまくいっていた時期もあった。メリットとしてはモチベーションがあるが、デメリットとして全市的視野がなかった」として廃止し、今後は学校の課題に合わせ、適材適所の配置をしていく方針を示した。
組織の課題として「教員8千人、児童10万人の大組織。だが、事務局には未然に防いだり対応する専門の部署がない」との現状が報告され、久元市長は「外部の視点からチェックする態勢を考える必要がある」との考えを示した。
長田教育長は令和3(2021)年春の人事異動から新人事システムを採用していく方針を明らかにした。「来春の異動は現在の枠組みだが、内容を精査し、現場から(人事案が)上がって行く通りとはならないようにしたい」と述べた。
教委は被害教諭とは代理人弁護士を通じたやりとりで、直接接触できていないという。ケアのためにも「お会いしたい」と申し入れているが、実現しておらず「会えるよう努力していきたい」とした。
久元市長は連携の抜本的見直しのため、外部人材の登用方針を示した。また、神戸市と教委の情報発信は「ひどい状態」とし、見直しを求めた。信頼回復に向けて市と教委が全力を挙げることで一致。今後の方針として、事実解明を早急にし、できれば年内に明らかにする、明白な事実はそのつど公表することなどを決めた。