年齢構成のいびつ、どう克服 公立小の模索続く 若手に要職、立ったまま気軽に会議…
2019/11/25 17:28
職員室に立ったまま打ち合わせできるスペースを新設。ベテランも若手も指導方針を共有する=伊丹市池尻7、阪神昆陽高校
神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題は、団塊世代の大量退職で教員の若返りが進み、年齢構成のいびつさが増す中で起きた。若手や中堅をどう育成し、管理職の担い手をどう確保するのか。重い課題が突き付けられる中、現場では模索が続いている。
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「若い先生の多くは真面目に頑張っている。ただ、努力だけではどうにもならない面もある」。兵庫県南部の小学校校長は漏らす。
正しいことを子どもに教えようとしても、表現やタイミングがうまくつかめない-。そんな苦労を目の当たりにしてきた校長は「ベテランならではのうまさを伝えないといけないが、ベテランと若手をつなぐミドルリーダーが手薄」と話す。
神戸市内の中学校校長は「学年主任や生徒指導などの要職を30代が担うケースが増えてきた」と指摘する。初めて学年主任を担う教員の研修では、校長自らも講師を務める。研修をきっかけに「若手が相談しやすく、管理職も助言しやすい関係を築くため」という。
教員同士が顔を見ながらコミュニケーションを図れるよう、職員室のレイアウトを工夫するのは伊丹市の阪神昆陽高校。机の上に積み上げていた教材などの資料は別室に移し、立ったままテーブルを囲んでミーティングするスペースも設けた。時にはここで、生徒指導など重要課題への対応を話し合うこともある。
「管理職や主任らと指導の進め方を確認すれば若手も見通しが持て、不安感が軽くなる」と尾原周治校長(60)は狙いを語る。
◇
一方、管理職を取り巻く変化を口にする中堅教員も少なくない。
「学校の出来事に責任を持ち、『何かあれば言ってこい』と大きく構える校長や教頭が減っているように思う」とは、県南部の小学校の40代教員。校長室のドアが閉め切られ、気軽にコミュニケーションを取りづらいと感じたこともあった。
電話や来客対応などで1日12時間超の勤務を強いられることもある教頭らの姿を見ると、尻込みもする。「こんな仕事のやり方がいつまで続けられるのか。管理職を避け、現場で子どもと関わっていたいと願う中堅も少なくない」と複雑な心境を吐露する。
県教育委員会によると、2019年度に県内公立学校(神戸市立を除く)で校長・教頭への昇任試験を受験したのは、14年度から2割以上減って709人。神戸市立学校でも同様に減少傾向が続く。特に教頭の落ち込みが大きく、18年度の受験者は132人と14年度(239人)比で6割の水準にも満たなかった。(佐藤健介)