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加藤一二三のひふみん伝説

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 第32期棋王戦第5局(森内俊之棋王-佐藤康光九段戦)で立会人を務める加藤一二三九段(中央)=2007年3月28日、東京都渋谷区・将棋会館
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 第32期棋王戦第5局(森内俊之棋王-佐藤康光九段戦)で立会人を務める加藤一二三九段(中央)=2007年3月28日、東京都渋谷区・将棋会館

 第32期棋王戦第5局(森内俊之棋王-佐藤康光九段戦)で立会人を務める加藤一二三九段(中央)=2007年3月28日、東京都渋谷区・将棋会館

 第32期棋王戦第5局(森内俊之棋王-佐藤康光九段戦)で立会人を務める加藤一二三九段(中央)=2007年3月28日、東京都渋谷区・将棋会館

 幼稚園のころに将棋を覚えた私が、周りの大人たちを相手に対戦を重ねるうち、勝ってばかりいて、しまいには対戦する相手が皆無になり、しばらくの間、将棋から遠ざかって過ごした後、小学4年生のある日のこと、偶然にも目にした新聞の将棋観戦記をきっかけに再び将棋を指し始めたことは、これまで多々語ってきたところである。

 その10歳のころ、初めて詰将棋の本を手に入れた私は、繰り返し夢中になって、その書を読み込んだ。書籍には詰将棋の基本問題が幾つも載っていたが、その解き方の手順を知って私はますます将棋の魅力に感じ入り、感動を覚えずにはいられなかった。詰将棋は玉を詰める手筋を考えるものだが、創作であるが故に、すべて最善の攻めをして玉を詰ますようになっている。

 詰将棋のように、いつも必ずきれいな攻めができるとは限らないのが実戦の局面だが、それでも時折は目がさめるほどに素晴らしい攻めの手筋ができるのもまた実戦であることを、小学生なりに1冊の書籍からくみ取った私は、無意識のうちにだが、当時すでに、プロとして将棋の道へ進むことを選択していたのかもしれなかった。

 後年、順調にプロ棋士となった私は、依頼に応じて詰将棋問題を創作する機会も増え始めた。1959年9月には、農業・農村文化の向上を目指すJA(当時農協)グループの出版・文化団体である「家の光協会」からの依頼を受け、協会発行の月刊誌『家の光』誌上で掲載の将棋欄で、毎月の詰将棋出題を担当することとなった。

 1925年に創刊され、2015年5月には創刊90周年の大きな節目を迎えた長寿の雑誌だが、76歳の今日に至るまで実に丸56年の長きにわたり出題させていただいている。なんと半世紀にわたる。『家の光』の連載企画には、歌手や俳優など幅広く活躍する美輪明宏さんの人生相談をはじめ長期連載が多いが、その中でも、私の詰将棋出題が最長の年月を重ねていることは誠にありがたい。(加藤一二三)

2016/8/5

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