エッセー・評論

木皿食堂

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 春、何としても食べたいのは、たらの芽やこごみ、ふきのとうのてんぷらである。野山で摘んだのを、その場で揚げて食べたという人の話を、入院中に聞いて、何という贅沢(ぜいたく)だろうと唸(うな)った。アク抜きなどしないで、揚げたてのほろ苦いのを、はふはふ頬張るのは、まさしく春である。

 子供の頃は、何がなんでも甘いもの、のはずだったのに、いつの間に苦い味を覚えてしまったのだろう。初めて父親のビールをなめさせてもらった時は、とんでもなくまずくて、大人たちは、何でこんなものを平気で飲めるのだろうと不思議だった。なのに、友人たちと初めて飲んだビアガーデンのビールの苦味は、ただただ爽快だった。どこまでも広がる夜空の下、自分で稼いだお金で、気の合った人と飲む楽しさの方が、苦味より勝っていたのだろうか。

2012/4/1

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