走行中に突然曇る窓ガラス 六甲ライナーの謎に迫る

2019/02/03 05:30

六甲ライナーで使われている特殊ガラス。「一部区間においてくもります」と記されている=神戸市東灘区内

 住吉川流域を紹介する「東灘マンスリー 甲南山河」。まちを取材していると、ふと気になる光景に出くわすことがある。その背景を探ると「えっ!」という理由や歴史が隠されている。今回は地元ではおなじみの六甲ライナーの不思議からひもとこう。 関連ニュース 急なS字なぜできた? 阪急神戸線「村山カーブ」誕生秘話 あれ?阪神線路に阪急車両 史上初、ファン興奮 2014年の珍事 ピンクのSLにファン集結 若桜駅でお披露目

 神戸市東灘区でJR住吉駅と六甲アイランドとを結び、通勤客らの足となっている「六甲ライナー」。住吉駅から六甲アイランド方面へ走行中、突然、窓ガラスが曇った。手でぬぐっても消えず、外気温との差で曇ったわけではなさそうだ。しかも、曇るのは車両西側の窓ガラスだけ。一体なぜ、こんな仕様なのか。
 六甲ライナーは1990年に開業した。現在は1日平均約3万6400人が利用する。
 この窓ガラスの正体は、日本板硝子(東京都)が開発した特殊ガラス。2枚のガラスの間にある液晶シートに電気を通すと、分子が光を通して透明に、電気を切ると分子が不規則になって曇る。瞬時に透明と不透明とを切り替えることができるという。
 導入のきっかけは、地域住民からの要望だった。住吉-南魚崎間では、約10メートルの高さを車両が走行し、近くに立つマンションや民家の室内が丸見えになる。プライバシーの保護を切望する沿線住民の声に応えて、93年に導入した。
 曇る区間は上下線で異なる。上りは魚崎-住吉間の600メートルと南魚崎-魚崎間の460メートル。下りは住吉-魚崎間の500メートルと魚崎-南魚崎間の260メートル。昨年から運行している新車両3000系にも引き続き使用されている。(長沢伸一)

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