見て良し、食べて良し“岡本の梅” 名所復活へ地元奮闘

2019/02/15 05:30

明治・大正期には列車が臨時停車して観梅客を降ろしていた(神戸アーカイブ写真館提供)

 岡本公園(神戸市東灘区)近くを流れる「天上川」は、阪急岡本、JR摂津本山駅西側を流れ、田中、北青木町などを南下して大阪湾に注ぐ全長約2・5キロの2級河川だ。「東灘マンスリー 甲南山河」では、今回から天上川流域のまちを中心に特集する。 関連ニュース 西日本高速道SA“ご当地丼”王者は? 関西8品、兵庫から5品 水道から熱々タマネギスープ 淡路島が「ご当地蛇口」に参戦 淡路島のサクラマス 来春“全島デビュー”で新ご当地グルメへ


 「梅は岡本、桜は吉野-」。大正末期頃まで関西の梅の名所として名をはせた神戸市東灘区・岡本。最盛期6千坪を誇った梅林は、昭和初期から始まった宅地開発で徐々に減り、1938年の阪神大水害などで姿を消した。82年に岡本(梅林)公園が整備され、再び花が咲いた。ただ、岡本固有の「重五郎梅」は現在数本残るのみ。「見ても良し、食べても良しの重五郎梅を増やし、岡本をいま一度梅の名所に」。地元では各団体による梅復活プロジェクトが続けられている。(末吉佳希)
 「観梅の季節には、駅がない場所に列車が停車し、見物人を降ろすほどにぎわっていたそうです」。梅の歴史検証や普及活動に取り組む「梅一つ火会」の事務局長・堤健さん(75)は、その歴史を語る。
 岡本の特産品として重宝された重五郎梅は、江戸時代に誕生した。花は遅咲きの淡紅色で、実は通常の約1・4倍ほどの大粒で肉厚。明治期には関東で一級品扱いされていたという。
 「岡本で梅の魅力を発信するなら、自前のものを使いたい」と岡本商店街振興組合の松田朗理事長(58)は力を込める。しかし、区内には両手で数えるほどしか残っておらず、採算を取るのは困難だ。同商店街でも、2、3月に「梅の味覚フェア」を開いているが、使われる梅はどれも区外のもの。「それなら増やすまで」と決意し、現在は北区に約2500平方メートルの土地を確保するなどして植樹を続けている。
 若木が成木に、そして十分な実をつけるまで数年かかる見込みで、その間は梅酒や梅干し、ジャムなどの製品化の構想を練る。「胸を張って『岡本の梅』とアピールできるまでもう少し」と松田さんは待ち遠しそうに話す。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ