連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

姫路市こども園問題

  • 印刷
こども園の認定が取り消された「わんずまざー保育園」=姫路市飾磨区加茂(撮影・山崎 竜)
拡大
こども園の認定が取り消された「わんずまざー保育園」=姫路市飾磨区加茂(撮影・山崎 竜)

 定員オーバー、スプーン1杯のおかず、保育士数の水増し、給付金の不正受給…。不適切な保育実態が次々と明らかになった兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」。ずさんな運営が明らかになり、29日、全国で初めて認定が取り消された。「待機児童の解消を図りたいとの行き過ぎた思いがあった」。同園の代理人は会見で釈明したが、子育て環境がなおざりにされた事実は消えない。園で一体何が起きていたのか。緊急報告する。(認定こども園問題取材班)

 JR姫路駅から南西に車で15分。オレンジ色の屋根が目印だった。

 「特別監査です」。2月23日午前9時半、兵庫県と姫路市の職員7人がわんずまざー保育園に入った。事前には知らせず、小幡育子園長は不在だった。

 にぎやかな声。この日は偶然、2月の誕生会。0~5歳の全員が1階の大部屋に集合していた。

 「60、65、70、73」

 20日前の定期監査では定員の46人以下だったはずだが…。

 給食の時間。不安そうな表情を見せる配膳担当の保育士に対し、監査員は「いつも通りにやって」と促した。

 1列になった0歳児7人の前に茶わんが置かれる。テーブルはない。白米の上にあえ物といり卵をのせた、いわゆる「猫まんま」が、床に並べられた。

 「これは何? これが食事?」

 驚いた元市立保育所長の監査員が聞くと、2人の保育士は、ボロボロと涙をこぼした。食べさせる際、園児への申し訳なさからか、ご飯とおかずをかき混ぜることはなかった。

 監査員は2階の部屋に6人の保育士を呼び、順番に面談した。「私は長く保育所長をしてきたの。今感じていることを話して」。そう語りかけると、保育士はせきを切ったように訴えた。

 「園長には何を言っても却下された」

 「過酷な勤務で心身はぼろぼろです」

        ■     ■

 「10年前と全く同じだ」。園の不正を伝えるニュースに、30代の元保育士は胸が締め付けられた。

 同園は2003年、認可外保育施設としてスタートした。その3年後、保育士に採用された。

 民家を借り上げた個人経営の託児所。「園長は明るいし、家庭的な雰囲気」。期待に胸を膨らませたが、数日で異変に気付いた。

 昼寝が苦手な4、5歳児が数人いた。園長は頭から布団をかぶせ「こうすれば寝るから」と、幼児を押さえたという。10分ほどで寝息が聞こえた。窒息しないか心配だった。

 残ったみそ汁はそのまま翌日に出した。盛り付けは「猫まんま」。動きたい盛りの1歳児は囲いに入れた。夜はベビーシッターの仕事が待っていた。

 「続けられない」と訴えると、「あなたを右腕にしようと考えていた」「一緒にいい園にしよう」と説得された。1カ月後、逃げるように施設を飛び出し、園長からの携帯電話を着信拒否にした。

        ■     ■

 特別監査を終えたメンバーは「認定取り消しになる」と確信した。「保育の基本が分かっていない。これで認定こども園をやっていたなんて…」

 元保育所長の監査員は、保育士の訴えを聞きながら一緒に涙を流した。「保育士も被害者。保育の楽しさを取り戻してあげたい」

連載【隠された実態 姫路・認定こども園】(中)保育士の葛藤

連載【隠された実態 姫路・認定こども園】(下)不正看過

2017/3/30
 

天気(5月24日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ