連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

姫路市こども園問題

  • 印刷
監査でわんずまざー保育園が提出した給食の「食数通知書」のコピー。修正液を使い「36」が定員分の「46」に書き直されていた(撮影・山崎 竜)
拡大
監査でわんずまざー保育園が提出した給食の「食数通知書」のコピー。修正液を使い「36」が定員分の「46」に書き直されていた(撮影・山崎 竜)

 「市に無断で子どもを預かっている」

 2016年1月。姫路市に匿名の通報があった。私立認定こども園「わんずまざー保育園」を名指ししていたが、小幡育子園長は否定し、詳しい調査を受けることはなかった。

 2年に1度の基準に沿い、市が定期監査に入ったのはその1年後。同園は、行政の目が届きにくい認可外から、こども園になった珍しいケースだったが、既存の施設と同じチェックしか行われてこなかった。

 年間5千万円に上る給付金の受給審査や監査をすり抜ける書類の改ざんは、10点以上に及んでいた。

   ■  ■

 3月21日夜、同園で開かれた保護者説明会。3時間以上続いた話し合いを終え、険しい表情で出てきた父母は、戸惑ったように口々に言った。

 「いつも明るく、頼りがいがあった。悪いうわさはなかった」。不適切な保育が発覚するまで、園長に好意的な評価は少なくなかった。

 ある母親(24)は昨年2月、生後3カ月の次女を一時保育で預けた。

 親族の会社から急に事務を頼まれた。すぐに働く必要があるが、市を通じた入園は原則、4月。無理を承知で近くの同園に尋ねた。「預けられますか?」

 「いいですよ~」。園長の明るい声が返ってきた。

 こんなサービスも告げられた。「発熱しても、すぐに迎えに来なくていい」「インフルエンザは隔離保育で対応」「夜間預かりはシャワーも使える」…。

 1日6時間預けて3千円程度。働く親には好条件ばかりだった。「園長は助けてくれた」と母親は言った。

   ■  ■

 待機児童ゼロの掛け声の下、国は15年度に認定こども園の普及を目指す「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせた。

 市は制度開始を前に、市内13地区の5年分の保育ニーズを推計。同園のある飾磨地区は5番目に多い179人分が必要だった。受け皿を増やしたい事情があった。

 認可外施設だった同園は、兵庫県による設備要件の緩和もあり、15年3月に認定を受ける。保育の質を守るため、事実上は「個人立」を認めない新制度直前の滑り込みだった。

 「設置者がうそをつくことは想定外」

 園長が動機を語らぬ中、認定の取り消し決定を発表した兵庫県と市の幹部は、口をそろえ「園長の資質」を問題にした。

 一方で、認定の経緯を巡っては「推進したのは市」(県)、「決定権者は県」(市)と、責任をなすりつけ合った。

 働く親の支援をうたいながら、なぜ不正が重ねられ、そして見過ごされてきたのか。核心が見えないまま、きょう、認定は取り消される。(認定こども園問題取材班)

連載【隠された実態 姫路・認定こども園】(上)特別監査

連載【隠された実態 姫路・認定こども園】(中)保育士の葛藤

2017/4/1
 

天気(5月24日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ