iPS医療応用へ決意 ノーベル賞山中教授 笑顔見せ記者会見
2012/12/12 22:53
ノーベル医学生理学賞受賞から一夜明け、記者会見で「初心」と書いた色紙を手にする山中伸弥京都大教授=11日午前、ストックホルム(共同)
【ストックホルム時事】ノーベル医学生理学賞の授賞式から一夜明けた11日午前(日本時間同日夕)、山中伸弥京都大教授(50)はストックホルム市内で記者会見し、「今日が始まり。研究者を目指した最初の日に戻って仕切り直したい」と述べ、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の医療応用に向け決意を新たにした。
山中教授は「想像以上に素晴らしい会だった」と時折笑顔を見せながらも、真剣な表情で記者会見に臨んだ。
今回の医学生理学賞は、細胞が受精卵のように体のあらゆる細胞になる力を取り戻す「初期化」の研究が評価された生理学賞の面が大きいと説明。「今は医学に役立つステップに移れるかどうかの節目。特に新薬開発に力を入れたい」と意気込みを語った。
さらに「研究を進めると、自然は思ってもいなかった新しい問題を問い掛けてくる。答えるとまた問題が現れるので、それに答えたい」と話し、研究者として自然や生命の謎を追い続ける決意を示した。
11日未明に晩さん会の会場からホテルに戻ると、科学誌から頼まれた仕事の催促が届いていた。「たまった仕事を片付けないと、ほっとできない」と笑った。
〈会見要旨〉
山中伸弥京都大教授の記者会見の要旨は次の通り。
今日の朝は科学者として仕切り直しの朝だと考えている。新たな始まり。研究者を目指した最初の日に戻ってやりたい。
(iPS細胞の)再生医療への応用は注目されており、日本は世界でもトップランナーだが、本当の応用はむしろ創薬。どう本格化させていくかが非常に大きな課題だ。iPS細胞をツールとして使ってもらえる環境づくりに取り組みたい。
(医療応用には)時間がかかる。しかし少しずつだが着実に新しい治療法に向けて進んでいることは理解していただきたい。いかに継続的なサポートをしていただけるかが非常に大切だ。
日米を行き来して違いを感じる。米国に行くと科学者が多くの子ども、若者にとって憧れの仕事である気がするが、日本はまだそこまでいっていないのではないか。日本にとって科学は国を支える力の一つ。知的財産はどんどん生み出せる。
失敗しないと成功できない。もうだめだと思ったらゴールの直前だったということもある。自分に対する励ましの言葉でもある。
(今年を漢字1字で表すと)「驚」に尽きる。発表に至っていないが研究でも驚きがあった。受賞はまさに驚きだ。(ストックホルム共同)