研究者をとりまく環境の変化
2013/03/26 17:37
今月半ば、次世代の幹細胞研究をテーマにして、京大iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)が主催する国際シンポジウムを京大で開きました。昨年、ノーベル賞を受賞されたジョン・ガードン博士や神戸の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの西川伸一副センター長を含む国内外の13人の招待講演者に加え、約550人が2日間にわたり、活発な議論を行いました。集まった研究者は、お互いにライバルではありますが、このような場での交流から新たな共同研究が生まれ、研究が進展することを願っています。
前置きが長くなりましたが、今回は研究者を取り巻く環境の変化について触れたいと思います。約20年前に私が研究を始めたころ、研究者にとっての最大のミッションは論文発表でした。現在でも論文発表が重要なことに変わりはありませんが、それに加えてさまざまな仕事に対応しなければならなくなっています。
例えば、研究技術が高度化したことにより、多様な解析技術に習熟する必要がでてきています。また、技術を普及させるために、知的財産権(特許権)の確保も欠かせませんし、大学で生まれた研究成果を社会に役立てるためにも産学連携が必要です。もちろん、研究成果の実用化に向けて社会の理解を得るために、情報発信の透明性を高めていかなくてはなりません。
これだけの仕事を、研究者1人で成し遂げるのは至難の業ですし、肝心の研究活動がおろそかになっては元も子もありません。そのためCiRAでは、研究をサポートする体制を築いています。情報管理や解析機器の管理、知的財産、契約、広報といった各分野の専門スタッフが、研究者と連携を密にしています。
この恵まれた環境を生かし、iPS細胞研究を強力に進めたいと思っています。
(山中伸弥=京大iPS細胞研究所所長・教授)