「生きヘタ?」ニュース
■摂食障害について、日本摂食障害学会理事の山田恒医師に聞きました
中学時代から摂食障害で苦しんできた「さなえさん」(40代)のインタビューを先週掲載しました。今週は日本摂食障害学会理事で、兵庫医科大精神科神経科学講座講師の山田恒医師(46)の話です。山田医師によると摂食障害は「生きづらさの病」だそうです。
-摂食障害とは?
「食事を拒んだり、制限したりして低体重になる神経性やせ症(拒食症)、食べ過ぎて嘔吐する神経性過食症があります。やせ症は若い女性のおよそ千人に5人、過食症は千人に25人といわれます」
「病気と診断されなくても、疑いの人は多く、食行動に何らかの問題を持つ人は、若い女性の7人に1人ぐらいとされています」
-なりやすい人は?
「昔は、真面目な人がなりやすいと言われていましたが、今はそうではなく、どんな人でもなります。ただ、生きづらい人がなります。家族や友だち関係、学校、仕事などにしんどさを抱え、すがるものを求めていた時、ふとダイエットをしてやせる。自分自身も周囲からもポジティブな評価が得られ、のめり込んでやめられず病気になります」
「社会の問題もあります。日本ではやせたら自信を持てる、などといった社会の刷り込みがあります。不適切な『やせ願望』が原因になっているのです。知ってほしいのは、摂食障害は死ぬ病気だということ。突然心臓が止まることがあり、自殺率も高いです」
-回復には何が必要?
「3食しっかり栄養をとって体を健康にすること、生きづらさが和らぐことが回復の大きな要因ですが、心の栄養を増やすことも大切です。しんどいことがあっても、発散できる楽しみがあれば対応できます。好きなユーチューブを見る、母親にハグしてもらう…。あなたならではの心と体の栄養の取り方を考えてみてください」(聞き手・中島摩子)
<相談先紹介>
◆兵庫県こころの健康電話相談(神戸市民除く) TEL078・252・4987。火-土曜。9時半~11時半、13時~15時半
◆神戸市自殺予防とこころの健康電話相談(神戸市民対象) TEL078・371・1855。月-金曜。10時半~16時半
◆ひょうご・こうべ依存症対策センター専用ダイヤル TEL078・251・5515。火-金曜。9時半~11時半、13時~15時半