(19)【読者の声】残りの人生どう生きるか

2020/02/21 09:59

読者から届いた手紙。メールも多く寄せられた

 大切な人との別れを連載してきた私たちの元に、読者から手紙やメールが寄せられています。死別経験や亡き人への思いをつづった文章の一部を紹介します。 関連ニュース イニエスタさん、神戸でアカデミー生と交流 ボール回しやゲーム子どもらと一緒に「楽しみにしていた」 兵庫県内のマンション発売戸数、2カ月連続増 投資用マンションが全体押し上げ 11月 兵庫県内、北部中心に積雪 20日朝も冷え込み続く 昨季は暖冬、スキー場「今年こそは」各地でオープンへ

 神戸市兵庫区の50代女性からは便せん3枚につづられた手紙が届きました。舌がんで闘病していた48歳の夫と、11年前に死別したといいます。
 夫を亡くしたとき、女性は43歳で、高校3年から小学6年まで、3人の男の子がいました。「病院との壮絶なやりとり、夫の最期。いい事も悪い事もすべて経験し、その時は本当に『先に死んだ方がラクだ』と思いました」
 今回の連載の初回で、男性が白血病で入院する妻を見舞うと「早く帰って」と言われた、という記述を読み、「私も主人にまったく同じ事を言われました」。
 当時、夫の入院先まで往復3時間かけて通っていたといい、「何ですぐに帰らなあかんの!という思いがあったのですが、今考えると、主人も体がしんどいのもあったのでしょうが、一人になりたかったのですかね」と振り返ります。今は子どもたちも成人し、「これからの人生を大いに楽しむつもりです」と書かれていました。
     ◇     ◇
 「私の妻も2年前に旅立ちました。今思うと、また目に涙がにじみます」とは、三木市の70代男性です。
 妻はがんを患い、手術をするも、医師から「取り切れなかった」と言われたそうです。「妻はベッドの中で涙を流し、私も悔し泣きしました」
 亡き妻には「最期までよく頑張ったと思う」と心を寄せ、毎日、仏壇にご飯とお茶を供え「45年間ありがとう」と伝えているそうです。男性の手紙は「残りの人生をどう生きるか悩んでいます」と締められていました。
 高校2年だった長女が自死をしたという女性からはメールが届きました。
 「胸の中をえぐり取られる感覚で生きてきた」。そんな中、長女の同級生が自宅にやって来て、たわいない会話をしてくれ、「温かい心を持った子どもたちに支えられて生きてこられた」とつづられていました。成人式にも50人ほどが集まってくれたそうです。
 長女との別れから、この春で12年。「愛する家族が亡くなる悲しさは人生の最大の悲しみ」とし、「何年かかろうが、その苦しみが抜けることはなく生きていくのだと思う」と記されていました。
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 連載に対して「自分に重なる」との感想が届く一方、死を扱う内容がショック-との声もありました。「生と死」やグリーフ(悲嘆)ケアについて、いつから考えるべきか、などの問題提起もありました。今後も、皆さんとともに考えながらシリーズを進めていきたいと思います。
 次回は、グリーフケアの専門家の言葉を掲載します。

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