【読者からの手紙】(7)悩んだ結果なら、どんな最期でもいい
2020/07/05 13:49
昨年6月に始まり、1年間にわたる連載を終えたシリーズ「いのちをめぐる物語」(全8部)には、読者から約350通の手紙やメール、ファクスが寄せられました。家族との別れを経験した人、闘病中の人、医療や介護関係者からのお便りもありました。生と死に向き合い、葛藤や後悔、亡き人への愛情…。あふれる思いがつづられていました。取材班はそれらの文面を心に置きながら、1年間、記事を書き進めてきました。シリーズ最後のお便り特集をお届けします。(紺野大樹、中島摩子、田中宏樹)
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但馬地方でケアマネジャーをしています。元の職業は看護師です。看護師時代もケアマネジャーになってからも、数多くの死の現場に立ち会いました。自宅でのみとりにも何度も立ち会いました。「これで良かった」という満足と、「これで良かったのか?」という言葉も聞きました。
人が一人、この世からいなくなること…。こんな大変なことに、正解はありません。どの選択も間違ってはいません。だから、私たちケアマネジャーや訪問看護師、ヘルパーなどのスタッフは人生の最期を一緒に背負う覚悟で、支援しています。
ただ、いろんな事情で「家に帰ろう」と言えない人もいるのです。「自宅で最期を迎えたい」と思っていても言えなかったり、実現できなかったりする家族も多くいるのです。在宅介護が途中で無理になり、病院で最期を迎える人も数多くおられます。
介護には相当の体力、精神力、介護を分担してくれるほかの家族の存在が必要です。仕事、学校、子育てなど日常生活の中に介護が入ってくるということは、本当に大変なことだと思うのです。きれいごとでは済まない在宅介護です。
どの家族も家族の死に直面し、精いっぱい寄り添い、考え、悩んでおられるのです。その結果であれば、どこで最期を迎えてもいいのではないかと思います。(豊岡市、50代女性)