「茉莉子、死ぬんじゃないかと」 尼崎連続変死一問一答
2015/01/27 10:22
尼崎連続変死事件で、角田優太郎被告(28)の裁判員裁判第18回公判が15日、神戸地裁であった。2008年に尼崎市のマンションのベランダ物置に監禁され、死亡したとされる仲島茉莉子さん=死亡時(26)=に対する殺人、監禁事件、安藤みつゑさん=同(67)=に対する監禁事件の審理があった。14日に続き、証人として茉莉子さんの夫康司被告(45)が出廷した。
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康司被告と検察官の主なやり取りは次の通り。
-あなたと茉莉子さんが入れられていた物置はベランダ、つまり屋外にあった。夏は暑かった?
「暑かった。のどがすごく渇いた。物置のドアは昼間は開いていたが、風が通らない」
-体調に変化は?
「脱水症状になって、意識がもうろうとなった。最初は水がほしいというと、(角田)美代子(元被告)らが入れてくれたが、1週間もたたないうちに1日2リットルに制限された」
-食事は。
「基本は1日1食。美代子の機嫌にもよるが、2~3日に1回のときもあった」
-食事内容は?
「カップラーメンとどんぶり飯に、おかず一品ぐらい」
-栄養バランスは。
「偏っていた」
-優太郎被告は食事制限を知っていたか。
「分かってると思う。一緒に住んでる人なら、美代子が虐待している人間に制限をするというのは、日常で見聞きしているはず」
-茉莉子さんより前に虐待を受けていた人がそうだったから?
「そうです」
-茉莉子さんに暴行していたのは。
「美代子と僕と(李)正則(被告)」
-どんな暴行か。
「素手で殴ったり蹴ったり。棒やサンダルが使われ、タバコの火を押し付けることもあった」
-茉莉子さんにけがや傷跡は?
「全身に無数にあった。やけどの跡も」
-手加減したか。
「最初はしたけど、その後でやめた」
-どうして?
「東京に逃げていたときにお世話になった僕の友人のことを美代子に告げ口した」
-具体的には。
「友人に迷惑が掛かると思い、美代子には隠していたのに、茉莉子が言った。友人の奥さんや子どもをけなすようなことも。僕は茉莉子への気持ちがなくなっていった」
-茉莉子さんへの暴行はほかの人は知っていたか。
「分かっていたと思う。部屋には(物置内を映すカメラの)モニターがあるし、悲鳴やドスンドスンという物音がしていたはず」
-食事制限でかなりやせていたようだが、そのほかに茉莉子さんに変化は?
「視力が悪くなっていた。パチンコの整理券取りに並びに行ったとき、(手元にある)入会証の欄に『何を書けばいいのか』と聞いてきた。あと、食事のときにご飯とおかずがよく見えず、手で探していた」
-08年11月に物置で安藤さんが亡くなった後の話。物置には茉莉子さんもいた。
「ボーッとして、目の焦点が合ってなかった感じだった」
-安藤さんの死後も茉莉子さんを閉じ込めるのは続いた。
「このまま続けば死ぬんじゃないかと思った。寒さもあったし、食事も満足に与えられない。暴力もこのまま続けば、と」
-12月上旬、茉莉子さんが物置で亡くなった。
「僕は外から帰ってきて、美代子に呼ばれてモニターを見せられた。『死んでるわ』と。遺体を持ち上げるとすごい軽かった。腕は骨と皮の状態で、肉がほとんどなかった」