尼崎連続変死 「トイレの洗剤を目に入れられた」鄭被告の被告人質問

2015/05/14 21:14

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の内縁の夫、鄭(てい)頼太郎被告(65)ら3被告に対する裁判員裁判の第2回公判が14日、神戸地裁で開かれ、総括的な被告人質問があった。鄭被告と弁護人の主なやりとりは次の通り。 関連ニュース 80歳男性変死、殺人容疑で74歳妻を逮捕 神戸・西区 介護に悩み、首を絞めたか 神戸・西区の男性変死 死因は窒息死 首に強い圧力かけられた可能性 宝塚の商業施設で女性変死 個室トイレで従業員が発見

 -美代子元被告を知ったいきさつについて。あなたがアルバイトしていた尼崎のスナックで紹介された。
 「はい」
 -結婚は23歳の時。
 「はい」
 -プロポーズはどちらから。
 「私から」
 -どこに引かれた。
 「私とは気性が違い、気が強くてぐいぐい引っ張っていってくれるところに」
 -あなたはおとなしくて引っ込み思案だが、引っ張ってくれると。ところが、結婚後も三枝子被告が同居していた。美代子元被告に理由を尋ねたことは。
 「質問したことはありません。当然と思っていたので」
 -結婚して一緒に暮らす上で不満もあったと思うが、あなたの小遣いとか、生活していく上での希望は聞いてくれたのか。
 「いえ」
 -角田家にいくらお金があるとか、いくら借金があるとか知らされていた?
 「聞いても教えてくれませんでした」
 -元被告とけんかしたことは。
 「結婚する前は。もちろん、口では到底勝てないです」
 -口論になっても歯が立たない。いつも言い負かされてしまう。
 「はい」
 -反論もなかなかできない。正しいと思うこともなかなか言えなくなり、意見もしなくなった。
 「はい」
 -あなたが角田家でしていたことは。
 「運転手と雑用。あとは日曜大工」
 -あなたも元被告のもとから逃亡したことがある。
 「2000年、美代子が窃盗容疑で逮捕された時、石川県に逃げました」
 -どうなった。
 「2、3カ月もたたないうちに見つかりました」
 -連れ戻された。ただじゃ済まなかった?
 「はい。トイレの洗剤を目に」
 -トイレの洗剤を目に?
 「はい」
 -「目に入れろ」と元被告が命じたのか。目に入れたら失明してしまう。
 「はい」
 -2回ほど自分で目に入れて、そばにいる人にも入れられた。
 「はい」
 -それで終わった。
 「その後、まだ見えるもんで『まだ見える』と言ったら、美代子が『大工道具の中から千枚通しを出してこい』と言いました」
 -アイスピックのような物。それをどうした。
 「両目を突かれかけました。『目だけはやめてくれ』と頼んだ」
 -許してくれたのか。
 「はい。『あたしがこれからすることにあんたは口出すな』と」
 -あなたは今、歯が前歯の4本しかない。拘置所ではご飯やお漬物とか出ると思うけどどうしてる。
 「そのまま飲み込んじゃう」
 -漬物とか堅いのに?
 「そう」
 -虫歯になった原因だが、治療には行けなかった。
 「美代子に行かせてもらえなかったです」
 -なぜ。
 「美代子が虫歯になった時、ベッドの上で転げ回って『痛い、痛い』って。その時に私が笑ったんです」
 -それで、あなたには「もう歯の治療はさせない」となった。
 「はい」

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