尼崎連続変死 「もう飛び降りた後だった」瑠衣被告一問一答

2015/05/15 21:37

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義妹、三枝子被告(62)や内縁の夫鄭頼太郎被告(65)ら親族3人の裁判員裁判第3回公判が15日、神戸地裁であった。2005年に沖縄で転落死した角田久芳さん=当時(51)=の事件で元被告の義理の娘、瑠衣被告(29)が検察側証人として出廷した。 関連ニュース 80歳男性変死、殺人容疑で74歳妻を逮捕 神戸・西区 介護に悩み、首を絞めたか 神戸・西区の男性変死 死因は窒息死 首に強い圧力かけられた可能性 宝塚の商業施設で女性変死 個室トイレで従業員が発見

 検察官と瑠衣被告の主なやり取りは次の通り。
 -05年6月19日、久芳さんを連れて9人で沖縄へ向かった。
 「はい」
 -当時、久芳さんが「やっぱり行くのは嫌」と言えた?
 「それは言いだせない状況」
 -到着後、日数をかけていろんな所を観光している。
 「美代子が『(久芳さんの)最後の思い出づくりに観光しよう』と」
 -6月28日、(久芳さんが転落死した景勝地)「万座毛」の下見に行った。
 「美代子が『もう十分回ったやろ。1回下見行こ』と。崖の下がどうなってるかとか、飛び降りる場所があるかどうかの確認に」
 -7月1日に実際に飛び降りた。日取りは誰が決めた。
 「美代子が決めました。前日に美代子が『明日にしよ』と言い出して」
 -前日に久芳さんと2人で話をしましたよね。
 「夜、美代子が『皆最後やから、久芳にお別れのあいさつしたり』と言いだして、1人ずつあいさつすることに。美代子が『久芳、外で待っとき』と言って久芳さんが(角田家の宿泊していた)ロッジの外へ行き、美代子の言う順番に1人ずつ交代で出た」
 「私自身は掛ける言葉に困ってたんですけど、『お金に苦しくなったのは(瑠衣被告の親族の)皆吉家のせい』と美代子によく言われていたので、『皆吉のせいでこんなことになってごめん』と。久芳さんは『そんなこと気にせんでええで』『ゆう君(瑠衣被告の夫角田優太郎受刑者)と仲良うしいや』と」
 -当日は誰が万座毛に行った?
 「美代子以外の全員で行きました。美代子は朝になって突然『久芳、うちはここでお別れやから』と」
 -どういう段取りで飛び降りることに?
 「万座毛の遊歩道を歩いて行くと、崖の近くで記念撮影できる場所があるんですけど、そこで(崖に背を向けて)記念撮影している時に、足を滑らせて落ちてしまうという段取り。美代子が『怪しまれんようにな』『自然にな』『チャンスは1回しかないからな』と言ってました」
 -久芳さんの反応は。
 「静かに腹くくって覚悟決めてるという感じ」
 -万座毛に着いてからは。
 「皆観光している感じでそれぞれフラフラ歩いていた」
 -その後予定していた場所に着いた。
 「三枝子が『皆写真撮ろう』と声を掛けて、崖の方に集まりました。ちょっと時間かかってるところがあって、三枝子が『もう1枚撮るわな』と何回か言った。『時間かかって大丈夫かな』と思ってると、まさ(李正則被告)の『はよせな、はよせな』と焦る声が聞こえた。その後『落ちた!』という声で振り返ったら、もう飛び降りた後でした」
 -病院で、久芳さんの遺体に対面した。その時の皆の反応で覚えていること。
 「三枝子が久芳さんの顔に手を当てて涙しながら『久芳君』と言ってた記憶があります。あとは頼太郎が久芳さんの近くに行って『久芳、何でこんなことになったんや』と。私自身『演技しないといけない』と思ってたんですけど、いざとなるとできなくって。三枝子や頼太郎が、リアクション取れてるということに対してさすがやな、すごいなと思った記憶がある。病院関係者がいない時に頼太郎と目が合ったら、ちょっと笑ったというか、舌を出したというか。演技と分かるようなジェスチャーをしていた記憶があります」

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ