尼崎連続変死事件 李被告19日に初公判 神戸地裁
2015/08/18 12:10
李正則被告の起訴内容と罪名
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理のいとこ、李正則被告(41)の裁判員裁判が19日から神戸地裁で開かれる。3件の殺人や1件の傷害致死など計10の罪に問われており、検察側は暴行など虐待の直接関与を立証していくとみられる。弁護側は殺意や共謀の有無など大半で起訴内容を争う構えだ。
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「普段はおとなしかったが、美代子からの電話があると急に暴れだした」。これまでの裁判で皆吉初代さん=死亡時(59)=の元夫(63)は李被告についてこう証言した。別の関係者は「体が大きく威圧感があり、常に角田(元被告)のそばにいた」「角田が怒るとまさ(李被告)も怒った」。元被告は周囲に「この子は元やくざで私の言うことは何でも聞く」と話したという。
李被告は2002年ごろ、角田家に出入りするようになり、元被告のおじと養子縁組したとされる。同居して日が浅かったため、角田家では元被告が近親者にさせないクレームなどの役割を引き受けていたという。
これまでの裁判に出廷した親族らは被害者を殴る李被告を元被告が制止するなどの暴行場面を証言。角田瑠衣被告(30)は李被告について「角田家にお世話になっているという気持ちが強かった」「私と正則は、美代子に気に入られようとアピールしていた」とした。
一方、李被告は元被告と出会った後で妻らと別れたとされる。公判で朗読された李被告の供述調書では、元被告に被害者の監視を指示され「『お前が自分で見とかんかい』と内心思いましたが、怖くて口が裂けても言えなかった」との記述もあった。
【尼崎連続変死事件】 2011年11月、尼崎市の貸倉庫でドラム缶に入った女性の遺体が見つかったのを端緒に、角田美代子元被告=自殺時(64)=の周辺で不審死や行方不明が相次いでいることが発覚。一連の捜査で男女8人の死亡が確認された。兵庫県警は元被告と親族7人を逮捕したが、元被告は12年12月に留置場で自殺した。これまでに親族2人の刑が確定し、義妹の三枝子被告(62)ら3人は9月に判決が言い渡される。元被告の親族の裁判員裁判は李被告で6人目。