尼崎連続変死 李被告初公判、大半の罪で争う姿勢 神戸地裁

2015/08/19 11:32

李正則被告をめぐる人物関係図

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理のいとこ、李正則被告(41)の裁判員裁判初公判が19日、神戸地裁(平島正道裁判長)で始まった。李被告は、起訴された10の罪のうち、3件の殺人や1件の傷害致死など大半について起訴内容を否認した。 関連ニュース 80歳男性変死、殺人容疑で74歳妻を逮捕 神戸・西区 介護に悩み、首を絞めたか 神戸・西区の男性変死 死因は窒息死 首に強い圧力かけられた可能性 宝塚の商業施設で女性変死 個室トイレで従業員が発見

 李被告は2002年ごろから元被告らと同居し、元被告のおじと養子縁組。検察側は被害者に対する暴行などで中心的な役割を果たしたとみている。
 李被告が殺人罪に問われたのは、05年7月に沖縄で転落死した角田久芳さん=死亡時(51)▽08年12月に尼崎のマンションベランダ物置で死亡した仲島茉莉子さん=同(26)▽11年7月にベランダ物置で死亡した橋本次郎さん=同(53)-の3事件。08年3月に意識不明となり、翌年死亡した皆吉初代さん=同(59)=への傷害致死罪にも問われている。
 李被告は午前10時半ごろ、黒のスーツ姿で深く一礼して入廷。裁判長の人定質問で「角田こと李正則です」と述べた。
 罪状認否では、久芳さんに対する殺人について「久芳さんは(死亡保険金で)角田家を救うため自殺した」と自殺関与罪を主張。茉莉子さんや橋本さんへの殺人は「美代子(元被告)らと物置に閉じ込めたことは間違いないが、亡くなるとは思っていなかった」と監禁致死罪などにとどまるとした。皆吉さんへの傷害致死罪は、亡くなった原因とされる暴行を「一切振るっていない」として無罪を主張した。
 一方、皆吉さんを逃亡先から連れ去ったとされる加害目的略取罪など一部は起訴内容を認めた。

 【尼崎連続変死事件】 2011年11月、尼崎市の貸倉庫でドラム缶に入った女性の遺体が見つかったのを端緒に、角田美代子元被告=自殺時(64)=の周辺で不審死や行方不明が相次いでいることが発覚。一連の捜査で男女8人の死亡が確認された。兵庫県警は元被告と親族7人を逮捕したが、元被告は12年12月に留置場で自殺した。これまでに親族2人の刑が確定し、義妹の三枝子被告(62)ら3人は9月に判決が言い渡される。元被告の親族の裁判員裁判は李被告で6人目。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ