尼崎連続変死 瑠衣被告一問一答「一度でいいから謝って」
2015/09/10 18:00
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理のいとこ、李正則被告(41)の裁判員裁判第10回公判が10日、神戸地裁であった。2008年12月にマンションベランダ物置で亡くなった仲島茉莉子さん=死亡時(26)=の事件で、茉莉子さんの妹、角田瑠衣被告(30)の証人尋問があった。
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検察官との主なやり取りは次の通り。
-あなたの元の家族は03年に元被告と知り合った後で崩壊した。茉莉子さんや(瑠衣被告の母親で虐待の末に亡くなった)皆吉初代さんは、何か虐待されなくてはいけない理由があった?
「なかったと思います」
-あなたは、もともと2人との仲が「うまくいってなかった」と。2人に何か悪いところがあった?
「2人とも自分の考えや価値観があり、行動に移すタイプ。当時の私から見れば、うらやましくもあり、悔しくもあった。今思えば、2人が『自分を見下してるんじゃないか』と、自分で勝手にとらえ違いをしてたんじゃないかと思います」
-以前、この法廷で「(元被告による虐待の過程で)家族の汚いところを見せられ、家族が嫌いになった」と。どういう意味か
「母に関して言えば、美代子が話し合いの中で、母から話をどんどん引きずり出す中で、『瑠衣はいらない子だったんです』『妊娠したから産んだだけです』と母親に認めさせ、直接私に対して言わせたことがありました。産まれたときからそうなら、姉と(扱いに)差がついて当たり前やなと思い、そこから嫌いという気持ちを固めていったと思います」
-当時の初代さんの発言は真意だったと?
「今思えば、美代子が押しつけていましたし、そう言わないと次の瞬間殴られてしまうという状況だったから言ってただけだろうと思います。自分の中で美代子についていくことを選んでからは、元の家族が何をやっても、嫌って悪い方に見るという見方しかしていませんでした」
-初代さんも、茉莉子さんも壮絶と言っていい虐待を受けた。李被告の虐待への関わり方、積極性はどうだったのか。
「母や姉に対して直接恨みがあるとか、個人的に怒ってるというのはなかったように思います。ただ、正則は美代子のことを大事にしていて『おばちゃん(美代子元被告)のためなら何でもできる』という本人の言葉どおり、美代子の代わりに怒るというか、殴るのも構わないというふうに見えました。正則はとにかく角田家のメンバーにさせるくらいなら自分でするという気持ちがあった」
-あなたから見て、李被告はいいやつか悪いやつか。
「いいやつと思ってました。自分が大事にしようと決めた人には一生懸命になって、どんなことをしてでも喜ばせてやろうというのがあった。いいやつ、優しいやつやなと思っていました。その気持ちは今でも残っています」
-あなたは初代さん、茉莉子さんの遺族でもある。2人の事件について、李被告に対して思うことは。
「2人の遺族として恨むとかそういう気持ちはないんですけど、姉と母にしたことに対しては、一度でいいから謝ってほしいという気持ちがあります」