尼崎連続変死公判 「姉が身代わりになってくれた」瑠衣被告一問一答
2015/11/08 11:44
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理の娘、瑠衣被告(30)の裁判員裁判第10回公判が6日、神戸地裁で開かれた。2008年にマンションベランダの物置で相次いで亡くなった、姉の仲島茉莉子さん=死亡時(26)、安藤みつゑさん=同(67)=に対する事件の審理で被告人質問があった。
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検察側との主なやりとりは次の通り。
-安藤さんと家事の分担でもめたことがあった。
「ありました。私が角田家に来てはじめのころ。角田家では、特に女の人が用事をさせてもらえないと何の役にも立たず、居心地が悪いので、安藤さんから用事を分けてもらうしかないんですけど、なかなか教えてくれないし、『ええから、ええから』と言って、用事をさせてもらえなくて不満を持ってました」
-あなたの長女への接し方にも不満があった。お世話してもらうことに対して、あなたの本心は。
「そもそも、自分で面倒を見たいというのがあったんですけど、美代子に家の仕事をしなさいと言われたり、姉とか母親とかの問題もあるやろと言われて、その時に、安藤さんが『行こ、行こ』と子どもを連れて行ってしまってそっちで楽しくやっているのが、ねたましいな、腹立つなという気持ちになることはよくありました」
-茉莉子さんに大量の酒を飲ませて、その様子を撮影したビデオがある。撮影者は?
「私だったと思います」
-動画の中で、あなたが虐待の道具について元被告に提案していなかったか。
「ありました。『バーナー持ってこようか、お母さん(元被告)』と言ってます」
-どうしてそんなことを言ったのか。
「美代子がバーナーを姉に近づけて髪の毛がバーッと燃えて、姉もすごい悲鳴を上げていたことがあり、バーナーは『威力のある虐待』という感じでした。私が『バーナー持ってこようか?』と言うと、姉は言い訳しててもすぐに認めて、その後、話が一気に進むというのがあって、私も脅し文句でよく使ってた記憶があります」
-弁護人は、元被告以外の被告らを「黒子のような存在」と主張しているが、全てで指示待ちではなく、提案することもあった。
「そうです」
◆ ◆
弁護側との主なやりとりは次の通り。
-茉莉子さんへの、今の率直な思いは。
「やっぱり、申し訳ないなという気持ちでいっぱいです」
-具体的には。
「無念やったろうなと思うし、恨んでるんだろうなと。今から何しても取り返しがつかないし、何しても許してくれないだろな、と思います」
-茉莉子さんのことを考えたりするのか。
「やっぱり姉のことを考えることが一番多いと思います」
-茉莉子さんと一緒に沖縄に逃げた仲島康司受刑者の証言で、「2人きりになっても、あなたへの恨み言や悪口を一言も言わなかった」という話を聞いて、どう思った?
「私自身は、一緒に生活している時から、恨んでる、機会があれば告げ口しようとタイミングを見計らってるように見えてたんで、全然、姉のことを分かってなかったなと思います」
-茉莉子さんが、あなたがお母さんになったことを喜んでいたという話もあった。
「2人で逃げてる時なので、周りの顔色をうかがうこともなかったし、本心でそう言ってくれたんだなと思います」
-茉莉子さんは亡くなり、あなたは生きている。このことをどう思うか。
「姉を犠牲にして、私は生き残ってるだけだと思いますし、もう少しいい捉え方をすれば、姉が身代わりになってくれた、私をかばってくれたと思っています」