尼崎連続変死事件、李被告 虐待関与度焦点に13日判決
2015/11/11 11:01
李正則被告の起訴内容や弁護側の主張
尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理のいとこ李正則被告(41)に対する裁判員裁判の判決公判が13日、神戸地裁で開かれる。検察側が他の被告の証言などを基に「元被告の右腕」と指摘する一方、弁護側は元被告から犯罪行為を押し付けられた「『汚れ役』だった」とする。李被告は各事件の決定的な虐待行為を否定するなど大半の罪で争っており、裁判員らの判断が注目される。
李被告は沖縄県の崖から転落死した角田久芳さん=死亡時(51)=や、尼崎市のマンションベランダの物置に監禁され、暴行などを加えられて死亡した仲島茉莉子さん=同(26)=ら3人に対する殺人や傷害致死など計10の罪に問われている。検察側は無期懲役を求刑し、弁護側は懲役15年が相当としている。
「自分のせいにされている。はめられていると思った」。李被告は事件全体を通じた最後の被告人質問で、虐待、監禁行為に加担したことを認めつつ、そう述べた。
念頭にあるのは三つの事件で李被告の言動を語った角田瑠衣被告(30)の証言とみられる。崖に立った久芳さんに飛び降りを迫った▽茉莉子さんに対し、死亡前日に頭を何度も踏みつけた▽皆吉初代さん=同(59)=が急性硬膜下血腫になった原因とされる頭の揺さぶり行為をした-などと話した。
こうした起訴内容に深く関わる行為を示す証言に対して李被告はいずれも否定。弁護側も「検察側の主張には疑問が残る」と反論し、「元被告に利用され、角田家のみんなが嫌がることをさせられる役回りだった」とした。
一方、検察側は茉莉子さんの監禁で監視カメラの設置を提案したことなどを挙げ、李被告の積極性を指摘。「元被告の指示がなくても自発的に虐待に関与した。元被告に次ぐ責任の重さがある」と主張した。