尼崎連続変死 久芳さん事件「ローン無くなる」健太郎受刑者一問一答

2015/12/04 21:42

 尼崎連続変死事件で、角田美代子元被告=自殺時(64)=の義理の娘瑠衣被告(30)の裁判員裁判第19回公判が4日、神戸地裁で開かれた。2005年7月に沖縄の崖から転落死した角田久芳さん=死亡時(51)=に対する事件の審理で、元被告の養子で長男の健太郎受刑者(33)の証人尋問があった。 関連ニュース 80歳男性変死、殺人容疑で74歳妻を逮捕 神戸・西区 介護に悩み、首を絞めたか 神戸・西区の男性変死 死因は窒息死 首に強い圧力かけられた可能性 宝塚の商業施設で女性変死 個室トイレで従業員が発見

 検察側との主なやりとりは次の通り。
 -角田家の家計が苦しいことを、あなたはいつ知った?
 「久芳さんが亡くなる1年くらい前です」
 -経緯は。
 「美代子に部屋に呼ばれて『うちお金苦しいんや。うちが死ねって言ったら死ねるか?』と言われました」
 -あなたは何て?
 「『はい』と答えました」
 -本心は。
 「死にたくなかったです」
 -あなたに話した後、部屋に久芳さんを呼びましたね。元被告はどんなことを言った?
 「『うちお金苦しいんや。お金(保険金)残して逝ってくれるか?』と」
 -久芳さんは何て?
 「『分かった』と言ってました」
 -それは本心だと思った?
 「いや、本心ではないと思いました」
 -なぜ「分かった」と言ったと思った?
 「怖かったからだと思います。これまでの(他の人への)虐待を見てるので受け入れたと思います」
 -すぐ死ぬように言ったのか。
 「いえ、すぐじゃないです。美代子は『(家計を)回せるだけ回すから』と言ってました」
 -久芳さんが死ぬことで、保険金を得られる以外のメリットは?
 「久芳さんが亡くなれば(久芳さん名義の)家のローンも無くなるという話が出ていました」
 -(沖縄の)万座毛で飛び降りた場面について。久芳さんが飛び降りたと分かった時、どう思った?
 「『ほんまに行った』と思いました。怖くてできないと思ってました」
 -あなたはどうした?
 「崖の下をのぞいて名前を叫びました」
 -あなたは、久芳さんが死ぬことなく沖縄を出られたと思うか。
 「それはないと思います。沖縄には久芳さんが自殺するために来ていたからです」
◆        ◆
 裁判員や裁判官とのやりとりは次の通り。
 -久芳さんが飛び降りる直前、久芳さんの表情は見た?
 「見てないです。よう見る勇気がなかった、見られなかったです」
 -あなたも「死ねるか」と言われているのに、なぜ久芳さんが選ばれたと思うか。
 「ローンのことが大きかったと思います」
 -久芳さんは元被告にどう扱われていたか。
 「優しくされてました。気にかけてもらってました」
 -あなたに対しては?
 「私も気にかけてもらってたかとは思いますが…。角田家でけんかがあると、僕が美代子との間に入ることが多かったので、美代子にとって僕はうっとうしい存在だったと思います」

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ