洲本5人刺殺公判 検察と被告人の一問一答

2017/03/07 13:17

 2015年3月に兵庫県洲本市で男女5人が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた平野達彦被告(42)の裁判員裁判が15日、神戸地裁であった。平野被告は被害者遺族からのすべての質問に「答えたくない」と拒否した。検察側と平野被告との主なやり取りは次の通り。

 -なぜ向精神薬を服用するようになったのか。
 「注意欠陥多動性障害(ADHD)の診察サイトで自分に当てはまると思い、医師に処方してもらいました。コンピューターの勉強で集中力を高めたかったからです」
 -2007年ごろに使用をやめたのはなぜ?
 「処方を打ち切られたのかもしれません。医師からは何も知らされていません」
 -交際女性と別れた理由は?
 「視覚レベルでの盗聴です」
 -誰が?
 「工作員です。普通に察してください」
 -あなたが付き合っているのを工作員に見られているということ?
 「そうです。出会いそのものが仕組まれていました」
 -被害者たちが工作員と考えるようになった時期は。
 「2007年から10年の間だと思います」
 -なぜ。
 「祖父が首つり自殺という形で暗殺され、数カ月後に電磁波攻撃が始まりました。小学校低学年のとき、自宅敷地の大きな木で誰かが首つり自殺をしている夢を見ました。思い返せば、そのときはもう始まっていたのかもしれません」
 -工作員は何人くらいいるのか。
 「リストを作ったところ個人と団体で130人から140人です」
 -直接、接触した人が中心か。
 「そうです」
 -事件の被害者から受けた攻撃とは。
 「体の痛み、かゆみ、そして音声通信です」
 なぜ被害者からと特定できたのか。
 「対面状態で指を立てたりしてきました。自虐意識を植え付けようとしてきます」
 -どんな言葉で
 「押収されたノートに書いていて、言いたくありません。この場で言えば工作員連中の思惑通りになってしまいます」
 -インターネットに被害者宅が「売春宿をしている」などの情報を投稿していますが、何が情報源か。
 「…。それはカウンター(反撃)で、私は一方的に攻撃されていますから。情報源は、SNS(会員制交流サイト)を見てもらえば分かります」
 -電磁波兵器の実物は見たことがあるか?
 「アメリカの軍隊が持っているのを写真で見たことはあります」
 -事件当時、被害者の平野毅さん、恒子さんは寝ていた。
 「寝ていたと思います」
 -寝ていたのなら、あなたに電磁波攻撃はできないのでは?
 「…。原理的には兵器がタイマー式だと可能だと思います」
 -タイマー式があるのは知っているか?
 「見たことはありません」
 -ブレインジャックされている際に録音のレコーダーを回したのは、あなたの意思か?
 「分からないです」
 -被害者宅に入った際、他に人を見掛けたらどうしたか。
 「天誅です」
 -天誅の意味は。
 「かたきうちです」
    ◆
 被害者の遺族と平野被告とのやり取りは次の通り。
 -都合の悪い点を「精神攻撃」のせいにしているように聞こえますが、違いますか。
 「答えたくありません」
 -公判中もブレインジャックされていますか。
 「答えたくありません」
 -あなたの家族に対する思いと、被害者に対する思いに違いがあると思いますか。
 「答えたくありません」
 -事件を後悔していますか。
 「答えたくありません」
 -時間が戻っても同じことをしますか。
 「答えたくないです」
 -被害者に対する謝罪はありますか。
 「答えたくありません」
 -遺族に何か言いたいことはありますか。
 「答えたくありません」

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