洲本5人刺殺初公判 証人尋問一問一答
2017/03/07 13:25
2015年3月に兵庫県洲本市で男女5人が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた平野達彦被告(42)の裁判員裁判の初公判が8日、神戸地裁で開かれた。証人尋問で、事件直後に現場にかけつけた兵庫県警洲本署刑事課の警察官が「被告は不気味なくらい落ち着いていた」と話した。検察官との主なやりとりは次の通り。
-事件を把握した端緒は。
「刑事課員として当直勤務中で、午前7時13分ごろ、洲本署に直接通報を受けて現場に向かいました。後から(亡くなった平野浩之さんの妻)方子(まさこ)さんからだったと分かりました」
-電話を受けたのはあなた?
「はい」
-通報の内容は。
「かなり慌てた様子で『近所の平野が家に入ってきた。助けてください。早く来てください』と」
-どう対応しました?
「何も言えず、その後、通話状態のまま会話が途切れました」
-現場の状況は。
「現場に着いたら騒然とした状態で、母屋と離れの間で高齢女性が倒れていました。後に(浩之さんの母)静子さんと分かりました」
「母屋のリビングでは、方子さんの遺体を発見しました」
-どのように見受けられたか。
「(2人とも)すでに亡くなられているように見受けられました」
-その後は。
「他の署員の誘導で、浩之さんが亡くなられているのを見つけました。母屋の北側のあぜ道でした」
-その後は。
「署員6人で被告の身柄の確保に向かいました」
-被告の家へ?
「はい」
-どうして家へ向かったんですか?
「かねてより、近所のトラブルメーカーとして把握していたので、(平野被告が)容疑者の可能性が高いと判断しました。(被告の)父親によると、離れにいるということで、開けてもらい、確保しました」
-どういうやりとりをしたのか。
「私が『達彦さーん』と声をかけると、奥から出てきた。『この付近で事件が発生した』『やったんか』と聞くと、『報復したんや』『詳しいことは言えんから弁護士呼んでくれ』と。身体確認をしたところ、右頬と左右のブーツに血痕を確認したので、現行犯逮捕を指示しました」
-平野被告は奥から出てくる時もブーツを履いていた?
「私の記憶では履いたまま出てきました」
-方子さんからの通報の時、「助けてほしい」以外に聞こえた言葉などは。
「会話の最後にガガガガという音がして、多分受話器を落とす音だと思うのですが、その直後に悲鳴を聞いています」
◆
弁護人との主なやりとりは次の通り。
-通報で「近所の平野」と言われ、あなたはそれが誰を指しているのか分かったのか。
「はい。トラブルメーカーとして名前が挙がっていたので」
-あなたも直接相談を受けた。
「はい」
-具体的には。
「無断で写真を撮影された可能性があるので確認してほしいと。ただ、その内容だと刑罰や罰条には抵触しないと説明して、納得してもらえたと思っています」
-事実確認はした?
「していません」
-他には?
「過去にも、(相談のあった)同じ家族が写真を撮られ、中傷されたという名誉毀損(きそん)事件があります」
◆
裁判員との主なやりとりは次の通り。
-被告の家のドアを開けた時、被告の態度はどうだったか。
「正直なところ、不気味なくらい落ち着いた感じでゆっくりと玄関に現れました」