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京から富岳へ~スパコンの今

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マグマで覆われた原始地球に火星サイズの天体が衝突した直後の様子(細野七月・中山弘敬・国立天文台4D2Uプロジェクト提供)
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マグマで覆われた原始地球に火星サイズの天体が衝突した直後の様子(細野七月・中山弘敬・国立天文台4D2Uプロジェクト提供)
条件をさまざまに変えて計算した多くの円グラフは、いずれも地球由来の物質(赤色)が大部分を占めていた=神戸市灘区、神戸大
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条件をさまざまに変えて計算した多くの円グラフは、いずれも地球由来の物質(赤色)が大部分を占めていた=神戸市灘区、神戸大

 「1人の人間にとっては小さな1歩だが、人類には大きな飛躍だ」。今から50年前、米国の宇宙船アポロ11号が初の月面着陸を成功させ、アームストロング船長はそう語った。しかしアポロ計画で地球に持ち帰られた月の石が示すある矛盾は、その後世界中の科学者の議論を巻き起こすことになる。そして初の月面着陸から半世紀後の今年、スーパーコンピューター「京」がその矛盾を解明した。

【動画】「月を作った巨大衝突」はこちら

 月の起源は従来、「火星ほどの規模の天体に激突された原始地球から、岩石が飛び散って作られた」という説が最有力とされてきた。1960~70年代にアポロ宇宙船が月から持ち帰った岩石の成分が、地球とほぼ同成分だったことも根拠だった。しかし80年代、コンピューターで衝突の様子を計算すると、月は衝突した天体の岩石で形成されるはずとされ、矛盾が生じた。月はどうやってできたのか。そのテーマは科学者たちをやきもきさせてきた。

 その矛盾は今年、海洋研究開発機構(神奈川県)や神戸大学(神戸市)などの研究チームによってついに解かれた。チームは原始地球がどろどろのマグマに覆われていたと仮定。京を使って天体衝突の角度や速度、マグマの深さなどを変えた、224通りの膨大な計算を実施した。すると天体に衝突された地球からマグマが飛び散り、月が形成されていく様子が再現できた。

 一方で、今回計算できたのは衝突直後からの72時間のみ。再現動画を最後まで見ても月はまだなく、最終的に月が形成されるのは衝突から1カ月程度とみられる。後継機「富岳」では、月の形成が完了する様子や、衝突直後の岩石が飛散する状況を、より詳細に再現できることが期待されている。

2019/8/28

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