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京から富岳へ~スパコンの今

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急性心筋梗塞で機能が低下した心臓を補助する器具を入れたシミュレーション。身体に供給される血液量が、どれだけ増えるかも調べられる(作成=株式会社UT-Heart研究所)
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急性心筋梗塞で機能が低下した心臓を補助する器具を入れたシミュレーション。身体に供給される血液量が、どれだけ増えるかも調べられる(作成=株式会社UT-Heart研究所)
健康な成人の標準的心臓を再現したシミュレーションでは、血流のスピードも表現されている(作成=東京大学、株式会社UT-Heart研究所/協力=富士通株式会社)スマホで動画
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健康な成人の標準的心臓を再現したシミュレーションでは、血流のスピードも表現されている(作成=東京大学、株式会社UT-Heart研究所/協力=富士通株式会社)スマホで動画

 研究データに基づくシミュレーションで作るコンピューターグラフィックス(CG)は、「想像」によるCGとどう違うのか。

 それは、リスクを伴う事象の将来予測に使えるということ。そしてその最たるものが、人の命を扱う医療への活用だ。仮想空間に心臓の詳細な動きを再現する挑戦は、スパコン京の計算力だからこそ実現できた。

 心臓シミュレーター開発は、死因でも医療費でもトップクラスの心臓病の新たな治療法を見いだすため、東京大が中心となって進めてきた。

【動画】「心臓シミュレーション」はこちら

 東大の久田俊明名誉教授によると、鍵となったのは、心筋細胞の最小単位「ミオシン」と「アクチン」の動き。電気を帯びた約20種類の原子が細胞を出入りするモデルを使い、収縮する指示が行き渡る様子を再現した。1ミリの10万分の1程度の世界である、ミオシン・アクチンのペア約6千億個の動きから実際の拍動を再現するためには、京のほぼ全システムを17時間連続運用してでさえ、1拍半しかできない膨大な計算が必要だったという。

 「京でなければ、分子レベルからの詳細なシミュレーションは不可能だった」と久田氏。分子が相互作用してもたらす動きや、筋繊維の方向も正確に表し、血圧や心電図なども持つ「疑似心臓」を仮想空間に完成させた。

 このようにしてできた心臓シミュレーターは、危険な心臓手術の可否を検討したり、不整脈の人の突然死を防ぐ除細動装置で、負担の少ない電圧を探ったりすることへの可能性を示した。現在東大発のベンチャー企業代表となった久田氏は「後継機の富岳では、ミオシン・アクチンをタンパク質の構造から再現することで、遺伝子由来の心臓病解明につなげたい」と話している。

2019/9/4

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