当選確実なぜ分かる?
2017/10/21 08:10
最近の出口調査では、タブレット端末も使用。回答した有権者の秘匿性がより高まっている=神戸市東灘区
22日は衆院選の投開票日。選挙の報道でよく「○○さんが当選確実」って見るけど、どうやって判定しているんだろう。なぜ、開票作業が始まっていないのに、結果が分かるんだろう。(坂山真里緒)
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-「当選確実」って、どんなことを指すの?
「どの候補が当選したのかは本来、開票作業が終わった段階で初めて分かる。でもその前に、さまざまな調査や取材で、各報道機関が『この候補者の当選は間違いない』と判断したら、当選確実と報道しているのよ」
-なぜ、そんなことをするの? 開票が終わるまで待てばいいじゃない。
「衆院選だと、選挙の結果によって、政権が交代する。今回の選挙では、消費税の増税をどうするかは各党で主張が違っているよね。選挙結果は、私たちの生活にも密接に関係しているのよ。だから報道機関は、いち早く選挙結果の大勢を伝えることに全力を挙げるの」
直接聞き取り
-どうやって判断するの?
「多くの市や町で開票作業が実際に始まるのは、おおむね22日午後9時頃から。でも報道機関はその前から、さまざまな調査を重ねているの。電話による『世論調査』や、投票を済ませた人たちに直接聞き取りなどで確認する『出口調査』がその代表。投票所の近くで、報道機関の腕章をした調査員が、声を掛けているのを見たことない?」
-あ、ある。声を掛けられたこともあるよ。
「それが出口調査よ。1960年代後半に、米大統領選などでテレビ局が実施したのが最初といわれているわ。かつては、いろんな団体の組織票ががっちりと固まっていて、その票がどうなるのかを取材して判断していたのよ。今は、浮動票や、無党派層といって支持政党がいない人たちが多くて、従来の取材では判定できなくなった。日本では90年前後から速報性を重視するために導入され、今では新聞社や通信社、テレビ局など、多くの報道機関が行っている。各種調査は公示前から行っていて、繰り返してやることで情勢の変化を読み取っていくのよ」
-判定は、コンピューターで機械的にしているの?
「いいえ、調査結果に、これまでの取材を加味して判断するの。例えば、候補者の街頭演説だと、記者はどれくらい人が集まったか、聴いている人たちの反応はどうかなどを見て、“風”がどう吹いているのかを気にしながら取材しているよ。ほかにも、開票作業が始まってからだと、開票所内で取材し、どの候補が有利なのかを調べているんだ」
匿名性を重視
-でも、誰に投票したのか、知られたくないわ。どう使われるかも不安。
「報道機関の出口調査は、報道以外の目的に利用しないという条件の下、各市町選挙管理委員会の許可を得て行っているの。無記名だから、プライバシーも守られるわ」
「出口調査は速報のためだけでなく、年代や支持政党、重視した政策なども尋ねることで、有権者の投票行動を分析する目的もある。小選挙区制度になってから特定の政党が一方的に大勝することが多くなったの。でも、民意が本当にそこまで強く支持しているのか、議席の数だけで判断できなくなっている。『ほかに、投票したい政党や候補者がいなかったから』投票したというのも調査で分かる」
「神戸新聞社で判定した『当選確実』は、サンテレビの特別番組やラジオ関西だけでなく、電子版『神戸新聞NEXT』でも速報しているわ」
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正確な報道のため、出口調査の調査員が声を掛けたときはご協力をお願いします。