こどもの日に「ちまき」「かしわ餅」
2018/05/02 11:05
今年も販売が始まったかしわ餅(左)とちまき
間もなく「こどもの日」がやってきます。五節句の一つ「端午の節句」に由来し、ちまきやかしわ餅を食べ、古くは男の子の健やかな成長を願うのが習わしでした。なぜ、この日にちまきやかしわ餅を食べるのでしょうか。(片岡達美)
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-そもそもどんな菓子?
「ちまきは米粉やくず粉をササ、マコモなどの葉で巻いて蒸したもの。元は茅(ちがや)の葉で巻いたのでちまきと呼ばれたようだ。かしわ餅はあんを上新粉の餅で包み、カシワの葉でくるんだもの。こしあん、つぶあん、みそあんなど、お店によって違うね」
-いつから食べているの?
「ちまきの起源は古代中国で、楚(そ)の文人・屈原(くつげん)が川に身投げしたのを悼んで人々が米を水辺の草で包み、川に投げ込んだのが始まりとされている。厄よけの効果があるとして、端午の節句に食べるようになったんだ」
「日本では昔、5月5日でなくても祭事の供え物や行事食として食べられていたようだね。和菓子の歴史に詳しい『虎屋』新赤阪店準備室の浅田ひろみさんに聞くと、平安時代中期には、旧暦5月5日に食べた記録があるそうだ」
-なぜ男の子のお祝いに?
「端午の節句には、邪気を追い払う菖蒲(しょうぶ)や薬草のヨモギを軒先につるしたり、菖蒲湯に入ったりしていたけど、菖蒲が尚武(しょうぶ)、つまり武を重んじることに通じるとされたから」
-かしわ餅の始まりは?
「こちらは江戸時代。カシワは新芽が出てから古い葉が落ちる。子が生まれるまで親は死なない、つまり家系が途絶えない。縁起がいいと、餅を包むようになったんだ」
-お菓子の形状や味はそれぞれ日本全国、同じ?
「ちまきといえば一般に細長い円すい形だけど、東北地方では平べったい三角形や四角形。味も甘さ控えめ。今のように甘いちまきが作られるのは江戸時代から。もち米を竹の皮で包み、灰汁でゆでた鹿児島県のアクマキも甘くないけど、ちまきの一種。500年続く京都の老舗『川端道喜(かわばたどうき)』では、香りのいいササの葉で吉野葛(くず)や小豆あんを包んでいる」
「かしわ餅もカシワが生育しにくい地域では、似た形状の別の葉で代用していたんだ。西日本ではサルトリイバラ(サンキライとも呼ぶ)の葉を使うことが多かったようだね」
-兵庫県内には、どんなかしわ餅やちまきが?
「県内では、サルトリイバラの葉を使ったかしわ餅が多かったようだ。武庫川中流域や猪名川上流域の里山地域には、米粉に塩を加えた餅をカシワとヨシの葉で巻いたちまきがある。兵庫県立大名誉教授の服部保さんによれば、2種類の葉で巻くちまきは全国でも例がなく、とても貴重。今年も6月、川西市北部・黒川地区の人たちで作る計画があるそう。今年は地域による違いも考えながら、ちまきやかしわ餅を食べてみては」